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普英 【知ってる】

予定は未定。
続きから短い普英SS。
流石に新年からこれはないと思い年末の挨拶を済ませた後でしたが投下。

続き
ああ、なんで俺はいつまでたっても変われないんだろう。

アメリカにキツイ事を言われて、また凹んでる。
大抵の罵詈雑言には慣れたと思っていたけれど、どうやらそうでもなかったらしい。
たった一言
『君じゃなければ良かったのに』
そんな言葉に、それまでの全てを否定されたような気になって、一人になると嗚咽が止まらなかった。
ああ、どうして俺はいつまでたっても変われないんだろう。
そう自嘲して、口端を上げてみても、胸は痛いし、涙は溢れる。
ああもう、どうしてくれる。明日だって会議は続くのに。
いつまでも泣いてばかりいたら、ホテルにだって帰れないし、明日の会議だって泣いていたのがバレバレになってしまう。
そしたら、またアメリカに「いい加減にしてくれよ」などと言われてしまうだろう。
やるべき事は分かっている。
すぐに泣きやんで、体が冷えない内にホテルに戻って腫れた目を冷やし、明日は何も無かったような顔をして会議に主席する。
やるべき事は分かっているんだ。
なのに、涙は止まらず、流れ続けるからいけない。
どうして俺はこうもネチネチと色んな事をひきずってばかりなのだろう。
こんなのだから、アメリカに『君じゃなければ良かったのに』などと言われるし、うざがられて、嫌われる。
もしも、アメリカを育てたのが俺じゃなくて、フランス辺りだったとしたら、アメリカが独立したって、余計なお節介など焼かないのだろうし、アメリカだって、俺に対するような態度などはとらないだろう。
結局の所、全てこの性格が悪いのだ。
「畜生…なんで俺は変われねぇんだ…」
「…別に無理やり変わる必要なんてねぇんじゃねーの?」

ホテルまで涙を堪え切れなくて会議場の誰も来ないであろう庭の片隅に蹲っていた筈なのに、突然声がした。
イギリスが驚きにびくりと肩を震えさせると、声の主が微かに笑った気配がして、それから背中に体重と体温が預けられた。背中同士が密着してるようだ。
「変わることだけがイイコトじゃねーと思うぜー?」
軽めの口調に、独特の声。背中越しの体温の主の見当はついている。
「変わらない事がいいことだって、あるワケだし。俺様はお前のそういう所、別に嫌いじゃねーよ?…それに」
プロイセンが一度言葉を切って、それから噛み含めるようにして続けた。
「俺様はお前が頑張り屋なのを知ってるからよ。それでも無理なもんをそこまで無理して変えることも無いんじゃねーかと思うけど?」

頑張っても、
頑張っても。
まだ頑張らなければならなくて、
まだまだ足りない頑張れよ、と言われて…。
もう頑張れない
もう嫌だ
これでも頑張ってるんだ 無理言うな。
そう思った心が、
はちきれると思った気持ちが、
ゆっくりとしぼんでいくのを、感じて、
イギリスはぽたり ぽたりと涙を流した。

君が頑張れることは知っている。
そんな君だから、
頑張れないと思った時は、いっそ放りだしたっていいんだよ。

普英 【知ってる】