|
【ゴールデンウィーク】 「あのさ、ゴールデン・・・」 「部活っす」 「・・・」 とある喫茶店で牛尾と子津は向かい合ってお茶をしていた。 「・・・」 「去年だって部活だったじゃないっすか」 子津の言葉にさらさらと灰になっていた牛尾はゆっくり再構築していき、そうだけどね、と悲しそうに呟いた。 「キャプテン用事は無いんすか？」 こくっと紅茶を飲みながら首を傾げる子津に牛尾はほんわりしてから、『うん』と答える。 「用事なんて全部キャンセルだね！」 ２人で過ごせるものだと思っていたから、かなりショックだ。 「いや、別にキャプテンが勝手に予定空けるのは構わないんすけど、僕が覚えてなかったらどうするつもりだったんすか？」 「え？！子津くんっ・・・！」 悲痛な声を出して思いっきり誰が見ても今僕はショックを受けてます！といった態勢をとる牛尾に子津は最早慣れているのか、「覚えてるっすー」と呟きレアチーズケーキを口に運んだ。 「んー。美味しいっすねえ」 ちょっと酸味がかった甘さが堪らない。 「ね？ね？美味しいでしょ？来て良かったよねvVっていうか、びっくりしたよ。まさか愛しの子津くんが僕の誕生日忘れるワケないよねー！」 「さっきまでさっぱり忘れてたっすけどね」 「Σ！！！！！！」 「嘘っすけど」 「そそそそそ、そうかい。いや・・・子津くん、心臓に悪いこというねっ」 生汗を流しながら紅茶を啜る牛尾に、子津はこんなに芸人みたいにドッキリびっくりしてて心臓のほうは大丈夫なのかなーと思った。 「それで、どうするんすか」 「・・・。」 「僕はこれまた伊豆っす」 「・・・・・・子津くぅうん」 「僕にそんな声だしたった駄目っすよ。レギュラーかかってるんすから！」 「そうだよねぇ。頑張ってね・・・いや！凄い頑張れ！僕はちょっと悲しいけど君が君がっ！」 「嬉しいっすけどぶるぶるしながら言わないで下さいっす」 「ううううー羊谷のバカヤロウ・・・」 「卒業と同時に呼び捨てっすか」 「だってだってだってね！子津くん！！これは大変重大な問題なんだよ！」 しくしくしく、と漫画みたいな音をさせながら、テーブルに突っ伏して泣く牛尾に人の目が集まる。 何故か若い母親が子供に『し！見ちゃいけません！』と言っているのが聞こえた。 「そんなに重大なら。何で一言僕も行っていいかな？くらい言えないんすか」 「 」 「・・・・」 「・・・・え？」 ぽかんとした牛尾の顔を見ながら子津は続ける。 「だってそうじゃないっすか？別に旅館は部外者以外立ち入り禁止っていうワケでもないっすし。キャプテンが一般客として泊まりに来るぐらい別にどうって事ないじゃないっすか。キャプテンは僕に会いたくないんすか」 「子津くんっ」 感極まったような牛尾の声に子津はちょっと身構えた。 こういう時の牛尾はいつもとんでもない事を言い出すと相場は決まっている。 そっと子津は最近手が痛いので持ち歩き始めた紙のバット（ハリセン）にそっと手を伸ばした。 「じゃあ君がいる部屋に夜這いに行ってもいいっていう事だね！！！皆に見せつけてやろう！！」 スパコーン！！！ ハリセンが金色の頭を素早く叩いた。 「何をするんだい！」 「それはこっちの台詞っす！時と場所とかモラルとかを考えやがれっす！！」 顔を真っ赤にして怒る子津に牛尾ははて、と首を傾げた。 「ええと？」 「ここ喫茶店っすよ？！真昼間っすよ！？他の人もいるし、それに何で僕の部屋に来るんすか！！合宿っすよ？！皆で大部屋に決まってるし、それを知ってるくせに見せつける？！尚悪いっす！！」 「だって―――」 項垂れる牛尾にふん、と鼻息も荒く、子津はハリセンを仕舞い、椅子にどかっと座った。 こっちもかなり理性を忘れてる模様。 「それじゃあ、僕は草葉の影からそっと君を覗けっていう事かい？別にそれはそれでいいんだけど・・・」 「よくないっす。全く。僕はまあ、今年はちゃんと旅館組みになる予定っすし。多分、それだったらキャプテンの部屋に行ってもいいと思うっす」 野宿組みが旅館に泊まるのは駄目だろうが、旅館組みは他の部屋に泊まるのくらいは許されるだろう。 しかも今の２年３年は自分達の関係なんて熟知してるし。 「付き合いだしてから初めての誕生日っすね。僕楽しみにしてるっすから」 にこりと安心させるような笑顔に牛尾はテーブルの全てをなぎ倒しながら子津に抱きついた。 「ちゃんと次の日が大丈夫なくらいに手加減してあげるからねー！！！！」 「だからどうしてそうなるんすかー！！」 NEXT？ ＝懺悔＝ にゃーん！実はついさっきまで牛尾さんの誕生日をうっかり忘れていた水野。 よし、牛子をかくぞー！と書き始めたのはいいが。 誕生日じゃねえええ！！その前の話しじゃんかよぅ！ 続きは頭にあるが、ちゃんと推量してなかったから、間に合わん。 Σガッビーン。 この後は予定が入っている！早くこれも更新しなければ！！（焦） 水野八百起 ２００４．０５．０４ ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |