七転八倒堂

【ライク　オア　ダイ】

「さ～るの♪」
十二支野球専用グラウンド。
このグラウンドが綺麗なのは、牛尾キャプテンのコネと、野球ラブが徹底しているからだと思う。
その厳しい鞭のとばっちりを受けて、今日も今日とて疲れた体を押して、グラウンドの整備を終えた所。
振り向いた俺の前に奇怪な生物が一匹…。
「…」
「ほら、疲れただろ？タ・オ・ル♪」
にっこり微笑まれて、猿野の眉間に皺がキュッと挿入された。
「いや～ん♪そんなに熱く見つめれたら、ミヤ子困っちゃう～♪」
ハートマークやら何やらを飛び散らせながら身をくねらせる巨身に思わず一歩引く。
「…はは…別に見つめてねぇし…」
さっと目を逸らして、虚ろに地面を見て猿野は嘆息した。
子がついているからと言って女の子では有り得ない野太い声。
スカートから伸びている足はお世辞にもすらりとした曲線とはいい難い。
そこには筋肉質なすね毛付きの足。
正真正銘の男。
「テメェはまた来てんのかよ！とりあえず、うぜえ。しかも、何がミヤ子だ…お前の名前ならバカ子じゃねぇか」
「うっ！」
救いがやって来たのだと思って顔を上げた猿野は自分のうっかりを死ぬ程後悔した。
「い…犬飼…」
「ふ。犬飼は犬飼であってるが、今日から俺は猿野メイ子で…いい」
ぽっと顔を赤らめての返答に思わず砂を吐くかと思って顔を背ける。
「ッテメ！大人しく聞いてりゃ、いい加減な事言いやがって！猿野がテメーを同じ籍に入れるわきゃねえだろうが！
入れるのは俺様に決まってっしょ！このさいバカ子でもーって、猿野！」
じと目で二人の恥ずかしいやりとりをしばし見守っていた猿野がさっさと自分のタオルを取り出し去って行くのに慌てて二人が追いかける。
「おい！待てよ！置いていくなよっていうか、タオルならコレ使えって！…何代オレの汗が染み着いてるから☆いつでもオレと一緒のキ・ブ・ン♪」
女になりきっているのかいないのか、きゃはっ☆とはしゃぎながら差し出すその手からベシリ！とタオルを叩き落とす。
「勝ったな、御柳！猿！オレのはスペシャルドリンクだ！コーヒー牛乳＋オレの牛…ぶべあっ！」
落とされた、タオルの横でムンクの叫び状態になっている芭唐の横をあり得ない清々しい笑顔で走り寄る犬飼のアッパーで殴り倒す。
「テメエら、オレに言い寄ってんのか、嫌がらせしてんのかハッキリしやがれ！」
感情の色んなパロメーターが振り切れたらしい猿野の憤怒の形相に、犬飼、芭唐とも身の危険を感じて体をのけざらせる。
「…ったく。放っておくとどんどん増長しやがって…。とりあえず、そのキショイ化粧と、格好を直して来たら、付き合ってやるよ、お前ら。あ、でも喧嘩は止めろよ。ウザイから」
にっと笑って自身も着替える為にクラブハウスに向かう。
「あ、司馬！」
たたたっと小走りに駆けて行く後ろ姿をぽかんと見送って、おもむろに顔を合わせる。
「なあ」
「何だ」
「今、猿野」
「…付き合うって言ったな、とりあえず」
「言ったっしょ？」
「…休戦か？」
「ま、しょうがないっしょ」
「ヤるのも一緒なのか？」
「…はっ、仕方ねぇけど、そうなんじゃね？」
「テメーと二輪差しなんてごめんだからな…」
「そりゃオレのセリフだっつうの」
「…じゃ、とりあえず、」
「先に着替えた方が先なっ！」

「ぶえっくしゅっ！」
「(…大丈夫？猿野)」
「あー、風邪でもひいたかな…。サンキュー司馬」
身から出た錆で今夜彼がどうなったのかは、秘密にしておく。

END

　

†後書き†

うおー！超微妙ッ！(叫)
半年↑も待たせた挙げ句、めちゃくちゃな…。
めちゃくちゃな文ですよーっ？！
内容ですよー！
せっぷくぅーっ！(ギター侍)
本当、微妙ーな感じでごめんなさい…(泣)
しかも、題名と内容あってません。
最初とそこはかとなしに書き上げた時には内容が変わっていたので（汗）
かしこ。
水野八百起

２００４．１１．１８UP

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