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「…、竜崎」 「どうかしましたか、月くん」 暗い室内の中には、カタカタと云う機械的な音が微かに聞こえ、薄暗い光がぼんやりと浮かぶ。 時折手錠がガチャ…と鳴り響いた。 「どうかした、と言う程の事じゃ無いけどね」 「そうですか、ではいいです」 「…。いや、『ではいいです』じゃ無くてさ」 会話の糸をぷっつりと切られて、月は一旦黙った後、気を取り直して口を開いた。 「だから、なんですか」 「…キラ逮捕は僕も大いに願う所だし、その努力も惜しまないけどね。」 「…」 「もう少し会話を楽しんでもいいじゃ無いか？」 「…」 「…竜崎？」 最初言いかけた事とは違ったのだが、あまりにもな返事に提案する。 …が、Ｌの返事は無く、月は訝しく思い名前を呼んだ。 「…」 しかし返って来るのはただ無言の無音。 「竜ざ…「動かないで下さい、月くん」」 無言の返事では全く分からない。顔を見ようかと体を捻ろうとすれば、Ｌの制止の声が聞こえて、月はピタリと止めた。 背面越しのＬの声は、そんなに大きな声ではなかったけれど、ぴたりとした冷たい空間に心地よく月まで届いた。 動くのを止めた月は、大勢を戻す。 Ｌの背中に再び密着した。 膝に置いたちょっと傾いだノートパソコンを据え直す。 「…そんなに難しい質問をした覚えもなかったからね、寝ているのかと思ったよ」 「はい、寝てました」 「…竜崎…」 「すみません、冗談です」 「…」 はっきり言って、Ｌは理解できない。 誰かが誰かの事を100％理解する事なんて出来ないとは思ってはいるが、これほど自分に近く遠い存在を、月は他に知らない。 それでも、この理解出来ない、予想のつかない日常は思いがけず楽しい。 「…少し予想外でした」 「…『予想外』？そんなに僕はおかしな事を言ったかな」 言った言葉なら、間違い無く思い出せる。 「…キラである時の月くんなら、まだ分かりますが。そうですね、むしろ上手く情報を聞きだそうとして、言いそうですけど」 「竜崎」 「思った事を言ったまでです」 少し声を落として言った言葉にも、Ｌは靡かれずあっさり言う。 「僕はキラじゃ無い」 「…月くんはキラです。私には分かります。まだ確証が見つかって無いだけで。…今キラを名乗ってるのは月くんでは無いですけど…」 「…相変わらず、だな。…仕方ないからいつか信じてもらえるまで頑張るとするよ」 溜め息混じり、そう吐き出すと、意外にＬは少し笑ったようだった。 「…そうですか」 「そう。それじゃ、竜崎のお墨付き、現在キラじゃ無い月だから、遠慮なく会話を楽しもうじゃないか。…まさか作業の効率が落ちるから嫌だなんて言わないだろう？」 「……それは、」 「…」 「そうですが…。」 「…」 Ｌが言葉を選んでいるのを感じて、月は沈黙を守る。 「…私は」 「…」 「楽しむ為の会話なんて、した事ありませんから…」 「…」 「だからどうして良いか、分からなかったのですよ」 先程から、キーボードを叩く音はなりを潜めている。 「僕は、竜崎と話すのが好きだけどね」 「…私と、ですか？」 「うん。面白いよ。ちょっとした会話でも、色々とね。さしずめ、竜崎との会話はおもちゃ箱のよう…かな」 「…おもちゃ箱ですか。」 「竜崎との会話、とも言うけど、竜崎自身がおもちゃ箱、かな」 うーん、と何も無い暗闇の天井を見つめながら言うと、Ｌから「楽しそうなイメージですね」と返事が来た。 「…私からすれば、月くんは、ビックリ箱ですね。何が出てくるか、分からない」 「ビックリ箱…。そんな事を言われたのは初めてだ」 どっちかと言うと優等生の自分は形通りの箱、としてしか周囲に思われてなさげだが。 チラリと笑いながら言うと、背後でも小さく笑う声が聞こえた。 「私もです」 おわり …………………… …懺悔… 初めて(拍手お礼文以外では)のデスノSSです！ 超楽しかった！(超とか言うな) 水野さんは、Ｌ大好きで、月Ｌが好きなんですが。今んとこラブラブな月Ｌは書けません。…キスすら出来るかどうか…(チーン) 頑張ってレベルアップしますね！(うん？) …今仰天ニュースに(テレビ番組)『悪を許せない正義の警官』…みたいなのを…。 …タイムリー… 水野やおき 2005.03.02 ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |