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「…あ。」 「なんですか」 「ついつい昨日の話が気分が良かったから、忘れてたよ」 【背面理由】 「昨日と云うと…ビックリ箱の話ですか」 既に深夜を切っている暗闇の室内は、ノートパソコンの僅かな光りと、ユニゾンのように響くキーボードを叩く音で成り立っている。 「…まあ、そう。でも竜崎、『ビックリ箱の話』は無いんじゃ無いか？」 「…何か変な所がありましたか？」 会話をしながら、二人の指は止まる事を知らない。 「…変、というか…。的確といえば的確なんだけどね…。まあいいさ…と、また話が逸れる所だった。一つ聞きたい事があるんだが」 「何、ですか」 「…どうして君は僕の裏側にいるんだ？」 「…」 ピタリ、と会話が止まる。 Ｌは沈黙が多いな、と思いながら、聞く。 「ソファーが好きじゃ無いのは、分かるんだよ。どうしたってその座り方じゃふかふかのソファーは座り難いだろう？」 「はい、正解です」 「…そうしたら、フローリングで…と言う所は分かる。…でもせめて絨毯の上で、と思うだろう？」 「ですから、月くんはそちらにお座りいただいてるじゃ無いですか。ソファーの上だってお勧めしましたし」 そう、現在の作業場はＬ(月)の部屋の、フローリングの上だったりする。ライトは床に直接座る事に慣れていないので、ライナスの毛皮の上だったりするのだが。 「そう。だから、僕はこちらに座り、竜崎はそちらに座ってるワケだ。…だけど、背中を向ける理由は無いだろう？」 「…」 「確かに、隣に座れば肘とか、手錠の鎖なんかが邪魔なワケなんだが」 「はい、半分正解です」 律儀に返って来た返事に月は唇を持ち上げた。 「お互いに情報交換とかする時に不便じゃ無いかと思うんだけどね。」 「…それは、こちらの情報をそちらに…」 「竜崎」 「…」 シンとした沈黙が落ちて、パソコンだけが処理をしている音をたてた。 「僕がいいたいのは、そういう事じゃない。…確かに、昨日は信じてもらえるように努力すると言ったけどね。…そんなに信用が無いのか、僕は。」 「…」 「君が僕をキラなんだと言う。…でも、今回の件は違うんだろう？…だったら…」 「違うんです」 「…」 少し力が入り過ぎたか、と沈黙する事で言いかけた言葉達を飲みこんだ。 「…その、違うんですよ。月くん」 「…」 「…、」 Ｌは昨日にも増して言い難そうにしながら、話した。 「…好きなんです」 「は？」 好き？ 何がだ？ Ｌは変わってる。ひんやりとした床や、ペタペタとする素足の感覚が好きなのだとか。異様に甘い物が好きなんだとか…。色々と変わっている。 今回もそのたぐいなのだろうか。 相手に背を向ける事が？ 思わず出てしまった声に、Ｌはしばし言い迷った後告白した。 「背中にある体温が」 「…」 驚いた。 本当に、驚いて、声すら出なかった。 Ｌはその告白が恥ずかったのか、秘密ですよ、と小さく頬をかいていた。 「…えっと、それは光栄だと言えばいいのかな…？」 「別に呆れたと。素直におっしゃて構いませんよ」 「いやいや。なんていうか、人間ぽくていいと思うよ」 「…私はエイリアンですか。…そうかもしれませんが。そうでも別に驚きません」 「拗ねるなよ、竜崎。…そうだな、そう考えると、この態勢も嫌いじゃない。暖かくて、いいね」 以外に可愛い部分に笑いながら言うと、少し機嫌を損ねたような声が返って来る。 「…無理しなくていいですよ」 「いや、ちゃんと本心だ。それに、……何だか背後を任されているようで嬉しいよ、竜崎」 「…それではキリキリ現在のキラを見つけて下さい」 「分かったよ」 一旦止めていた手を再開させ月は微笑んだ。 おわり …………………… …懺悔… …とかだったらいい。 妄想大爆発な作品でスミマセン。 月が白い時でごめんなさい。 …二人が息ぴったりなコンビであり続けたら、良かった。 月が段々迫る真実に苦しむ内容なら、良かった。 …キラな月を好きな方、申し訳ないです。キラ月も好きなんですけど、ね…？(多分) 因みに前作『おもちゃ箱とビックリ箱』の続きです。思いっきり。 感想とか頂ければ、兎に角喜びます。 水野やおき 2005.03.02 ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |