|
「夜神くん、私に構わず寝ていいですよ」 【就寝】 もう時計は４時をきっている。 Ｌがそう言葉をかけるのに、月は「いや」と首を振った。 「…竜崎が起きているのに僕だけ眠れる訳が無いだろう。キラにも大分近づいた。松田さんがしてくれた事にはちょっと驚いたけど、今考えると彼らしいし助かった。」 「…松田さんのアレには困りました。結果オーライと言えばそれで終わりますけど…。これに懲りて充分考えてから行動していただかなければ」 かりっと爪を噛み、あの時の事を思い出してる様子のＬに、月は小さく笑った。 「はは。松田さんも流石に肝を冷やしたさ。…それに、竜崎。竜崎の命令で松田さんは本部詰めだろう？もう短慮も何も無い」 「死んだ人が外をふらふら歩いていては困りますから…。…夜神くん、笑っていますね？他人事は楽しいですか…」 「ははっ、そんなんじゃ無いよ竜崎。あの時とか今の竜崎の様子が面白いだけで…」 少し恨みがましい声に、月は口に手を当てて忍び笑った。Ｌはそんな月の様子を横目で軽く一瞥し、同じです、と返した。 (本当に別人のようだ) 今の月は、最初に会った時とは行動パターンも雰囲気も全く違う。 本人は同じようにと思っていても、それをそう振る舞おうとするなら必ずボロがでる。 一瞬のタイムラグ。 それを見逃すようなヘマはしない。 キラは月だ。 それを完全に否定するような材料が例え出たとしても、私だけは確信している。 それでも今の月を見ていると『違うといい』と思う。 月がキラだと思うのと、キラであればいいと思うのと…同じ強さで。 違うといいと思う。 違っていればいい。 違っていればいいのに。 「…き、竜崎？」 カシャン、と鎖が揺れてＬは顔を上げる。 「…すみません。何かおっしゃいましたか」 顔を覗き込むようにして月が屈んでいて、心配そうに置かれた手はじんわりと月の暖かさを伝えた。 これが演技に見えるだろうか。 「…いや。何だか様子がおかしいようだったから。推理の邪魔をするかと思ったから声をかけようかどうか迷ったが…。竜崎、ずっと寝て無いだろう。少し休んだ方がいい」 「いえ…、…いえ。大丈夫です。ずっと前から私はこんななので。全く支障はありません。私、先程も言いました。私の事は構わないでいいです。それよりも夜神くん、もう遅いです。寝ていいですよ」 「ずっと？！」 「…はい。何かおかしいですか」 驚いた様子の月に、Ｌは少し戸惑い気に顔を上げた。 何に驚いているのかさっぱり分からない。 月は驚いた顔をした後、はあ…と小さく息を吐いた。 「…こんなの、切羽詰まった浪人生ですらしないよ。まさか…、…ずっとだって…？信じられない…」 言いざま、月はＬの腕を掴み、寝室として用意された(殆どその部屋は使用されていないけど)部屋へと転身させた。 ぐいっと体を引っ張られて、椅子から落ちるようにＬは床に足を着く。 「…や、がみ、くん。いきなり何ですか」 「…『何ですか』じゃない。竜崎」 不愉快気に月を見上げると、更に不愉快そうな、不機嫌そうな月の視線に行きあって、Ｌは驚いたように目を開いた。 「…どうして夜神くんが怒るのですか」 キラならば、心配している様子、してもおかしく無い。 だが、これは怒っている。当然を当然の如く。 自然に、本気で。 Ｌの呆気にとられている表情に、更に月の眉間に皺が刻まれた。 「怒って無い。呆れてるだけだ…！僕が分かってるだけでも竜崎の睡眠時間は１時間以内だ。今の状況でさえ尋常じゃ無いのに。ずっとだって？！正気の沙汰を超えてるっ！ワタリは何をやってるんだ！どれだけ推理力が抜群でも、これじゃすぐ死んでしまうぞ？！…全く、何で父さん達も気づかないっ」 ぐいぐいと手首を引っ張られて、ずるずるという風に移動する。 流石に、最近の睡眠時間は少な過ぎたか、あまり体に力が入らないかった。 「…夜神くん、痛い、ですよ」 力いっぱい握られた手首が、痛かった。 その力以上の痛みをＬに伝える。 「だったら自分で歩けばいい。それとも、体調が悪くて一人じゃあ歩けないか」 挑発するような言い方にむっとしてちゃんと立ち上がる。 こうしてちゃんと歩き、寝室に行くのは月の思い通りに動かされているようで面白くは無かったが、確かに、この辺で休んだ方がいいのも確かな事で。 「…夜神くん一人じゃ眠れそうに無いそうですから…。仕方無いです、私も付き合う事にします」 「！」 スタスタと、月を追い越すように歩くと、ぽかんとした月の表情が苦い笑いに変わった。 「…竜崎、可愛く無いね」 「…それで結構です」 おわり …………………… …懺悔… …流石私。 全く進んでねえっ！(泣) ねえ？これどういう事？！どういう事ですか？！…って懺悔の場で騒いでも、許されるワケでは無いですが。 …ホント、微妙なの書いてすみません。 イライラさせてごめんなさい… …おっかしーな…この話、最初はＬが月の事を『月くん』って呼び始める話だったのにな。 いつの間にか月がＬをベットに連れ込む話に…(間違いでは無いが、激しく違うと言いたくなるような言葉を選ぶな) …もう早く月はＬをベットに連れ込むといい。 …そんな気持ちいっぱいで… また微妙な話を書く予定… 感想もらえたら激しく励みになります… 誰かボランティアの手を！(笑) 2005.03.06 水野やおき ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |