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君が好きだ。 【柘榴】 「………」 ジロリと真意を計るようにＬが月の瞳を覗き込んで来る。 その猜疑心でいっぱいの目には、分かりやすい程予想通りだという色が浮かんでいた。 そう思われるのは癪に障るが、友達というカテゴリーよりも踏み込みやすいなら仕方ない。 Ｌが女だと知った日から既に２ヶ月経っている。女性として意識して、告白するには悪くない期間だろう。 ただ問題は。 そういう展開にもつれ込んだ時に、じっくりと観察してみても、男(しかも奇妙な)としか思えないＬに勃つかどうかだ。 (まぁ、どうにかなるだろ…) 「…それで？」 「君が全世界の警察をも動かせる唯一の探偵である事は分かってる。けど僕は君の部下でも無いし、そんな事気にしない。好きになって貰える自信はあるんだ、試しでいいから付き合ってみない？自分で言うのも何だけどお得だと思うよ？」 「…対した自信ですね。ま、いいでしょう。借りもありますし」 やっぱり。 月がＬの弱点を探る為なら何でもするのと一緒で、Ｌもその身を犠牲にする事になんの頓着も見せない。 心の中で流石だよ、とシニカルに笑いながら、表面上はとろけるような笑みを浮かべてみせた。 「嬉しいよ、竜崎…」 捜査員のいないホテルの一室で、月はＬの唇にそっと触れて離れた。 「目、瞑って欲しいんだけど…」 「気にしないで下さい」 きっぱりと断られて苦笑する。この真っ黒な目に見られているとやる気が削がれるのだけれど。 「気にする…」 目的の為ならＬが女でも男でも構わずヤれるが、この目を見てると未知の生物に感じる本能的な危機感が沸々と湧き上がって仕様がない。 だから月はＬの目を自分の手で覆ってから口付けた。 「…ん…っ」 最初マグロに徹する気かよ、と思うくらいに反応のなかったＬが、しつこいキスに次第ビクリと反応を返すようになって、月はゆったりと満足気な笑みを浮かべた。 「…はっ、ん…んぅっ…ぅう…」 キスになれてないＬが酸素を欲しがってもがくのを押さえ付けて、容赦なくその舌を吸い上げると、ビクッとＬが震えて、月の体を押し返そうとする手に力が籠もる。それで漸くＬを解放した。 「…はっ、竜崎…」 濃い唾液の糸がお互いの唇を結んで、それを手の甲で拭う。 ハァハァと忙しない呼吸を繰り返すＬはいつの間にか月にソファーに押し倒されて、全体重を預けきっている。 その伏し目がちな目元はうっすらと紅を差して、伏せられた目尻には涙が滲んでいた。 (悪くないー…) 最初の反応が悪かったのは、Ｌがどういう反応を返していいか分からなかったのと、体が緊張していたからだろう。 「ねぇ、竜崎。もしかして、ファーストキス…だった？」 覆い被さるように手をついて、Ｌの耳元に吹き込む。 「…どうでもいい事でしょう、そんな事は」 Ｌが口にするのは味も素っ気も無い、可愛くない、Ｌらしい言葉。けれども睨むような視線は熱に潤みきっていて、その温度差に月はゾクリとした快感を得る。 跪かして、泣かせて、悦らせたいー…。 これほど加虐心と征服欲を掻き立てる存在もいないだろう。 「そうかな？こだわるつもりは無いけど、やっぱり初めては嬉しいものだよ？少なくとも僕はそうだね」 「案外小さな男ですね」 「確認してみる？」 「…っ」 「結構自信あるよ？」 Ｌの手を自分の股関に導いて、大きさを確認させると月は思わずといった風に息を詰めたＬにクスリと微笑みかけた。 「下世話な…」 「男なんてそんなもんだよ」 言外に『女のお前には分からない事だろうね』と告げると恐らくビンゴ、Ｌのコンプレックスを突いたようで、Ｌが射殺しそうな目で睨み上げてきて月はひっそりほくそえんだ。 Ｌの行動言動の端々に、男であるという事の羨望を感じる事があった。 他の誰もが、その事には気付いていないだろうし、Ｌ自身もその密かなコンプレックスに気付いていないのではないかと思う。 気付いているのは、僕だけ。 その変えようの無い事実を突きつける事は、新世界の神であるキラがＬを屈服させるに似通っていて非常に甘美だ。 堪らない。 そんな想像しながら、月はＬに口付けた。 ……………………… ・懺悔・ なんか色々すっとばしました…orz 月くんに下世話な言葉を吐かせるのが楽しいです★（笑） up 2007.07.26 NOVEL [0]back |