街はきらきらとしたイルミネーション。 『降り積もることも能わず』 鮮やかなディスプレイと、心浮き立つ音楽と。 耳は凍る程寒いと思ったし、手だって、手袋をしていてさえ、かじかむような温度だったけれど、足取りは軽い。 クリスマス当日の浮かれ立った人々の足音と同調するように、メロの足取りも軽やかにステップする。反対側を歩く引き篭もりのニアでさえそうなのだから、メロの浮つきも今日くらいは許されるだろう。 「L、先ずはツリーから買っていくんだろ?」 「ええ、そうですね。先に運んでもらわないといけませんから。…ああ、ここになんか丁度置いてそうな感じですね、ここでいいでしょう」 華やかな店内に目をつけて、Lが扉をくぐる。それにニアもメロも続いて入った。 街頭でもそうだったが、店内に入ると更に人目を浴びた。それもそうだろう。金髪と銀髪と黒髪の奇妙な男集団が揃って入って来たのだ、人目を引いても可笑しくは無い。客の大部分はカップルか女性客、それか子供連れだ。 「やはり大きいのがいいですね。とびっきり。部屋に入る程度でないと無理ですけど」 Lが言いながらツリーをさらっと眺めた。ニアは母親につれて来られた子供のようにふらふらと好き勝手に店内を徘徊し、好みのおもちゃを手にとっていた。 メロはと言うと、好き勝手な二人の様子を見ながらほんの僅かに溜息を吐く。これでは誰が保護者だか分からない。 「大きいのはいいけど…やっぱり、これくらいが丁度いいと思う。3人だったらこれで十分だろ?」 ちらほらと並ぶツリーの中の手ごろな大きさを示すと、Lは半眼で否やを告げる。 「大きいのがいいんです。とびっきり、大きいのです。」 「でも飾りつけが大変だろ…」 「それがいいんじゃ無いですか。いっぱい飾りたいんです。3人で」 「…部屋に入るのならこれくらいだと思うけど…」 「はい、それがいいと思ってました」 言って笑うLにメロは仕方が無いな、と苦笑する。これでは本当にどちらが年長か分からない。 「じゃあ、これ頼もう。後は飾りつけだけど…」 「コレとコレとコレはつけたいと思います」 「Σニア…」 いつの間にか両手いっぱいに飾りつけのパーツを抱えたニアが背後にいて、メロは思わず背筋を伸ばした。 どうしてこいつの気配はいつも無いんだ。 「…飾りじゃないのも混ざってるような気がするのはどういう事だ…」 「立派な飾りです」 「いいじゃ無いですか、好きなものを飾りましょう!もっと色んなものを選びましょう」 「ぁあ?これで十分…、」 だろう、と続く筈の言葉はLの表情を見て飲み下した。 甘いなと思うが、そんな事は仕方のないことだ。 それに年に一度のクリスマス。思いっきり楽しむのがいいだろう。 「…じゃ無いよな、うん」 「それでは、これとこの玩具も…」 「飾りを選べよ!」 「メロはケチです」 「お前なあ!」 本当にこの男とは相性があわない、そうメロは思って突っかかりたくなるけど、押し殺したような笑い声が隣から響いて来るものだから気を削がれる。思えば昔からこの繰り返しだ。 「いいじゃないですか、メロも好きなものを飾りつければいいんですよ。やはりチョコですか?」 「何か釈然としないけど、それで妥協してやる。覚えてろよ、ニア」 「明日には忘れてます」 「お前なあ〜〜〜〜っ」 「いいでこぼこコンビですね、二人とも」 Lが喉を鳴らしてくつくつと笑う。 (どっちが凸で、どっちが凹だ…) 「一番の私がきっと凸ですね」 さらりと言ったニアと渋面を作ったメロと。 二人は幸せそうなLの笑顔を見て、微かに唇の端に笑みを浮かべた。 ……………………… ・あとがき・ どうも、水野です! 恋とかの方のフィルターを除いても、ニアとメロはLの事が大好きだといいな、と思う水野です。 Lも二人のことが大好きだといい。 原作ではニアとメロのLに対する気持ちがほんの少し、欠片ほど窺うことが出来ましたが、Lの二人(ワイミーズハウス)に対する気持ちとか、知りたかったなーと思います。 知らなかったからこそ、激しい妄想もできるってものですが、映画でLを主役にしたスピンオフ作品もでることだし、やはりLを主人公にしたワイミーズ時代とかの漫画が始まっても…なんて思うだけは思います。…ああ、でもそれはそれで怖いし、 月くんがいないのは痛いです…!!ぐはあっ! とりあえずは、楽しく妄想三昧です(笑) 再アップ2007.04.30 …………………… [0]TOP-Mobile- |