差し伸べられた彼の手が
 涙き出しそうなくらい、嬉しかった。


第12話『差し伸べられた手』


「ニア…ッ」
 廊下を静かにだが駆けて来る音が近づいて来て、メロがばっと飛び出して来た。
「…げ!L…っ!これは…」
「貴方の猫が逃げ出そうとしていたので、止めました。メロ、私を呼びに来たのではないのですか?」
「う、あ。ね…?…いや、うん。そう…。急いだ方がいいと、思う」
 狼狽してしどろもどろになっていたメロが、きゅっと唇を結んで頷いた。
「分かりました。…あの方達は一歩も中にいれませんから、安心して部屋にいて結構ですよ。気になるのなら、裏の部屋から様子を窺っても構いませんし。…ただし、その時は見つからないように移動して下さいよ」
「わ、分かった」
 メロの堅い返事にLという青年が僅かばかりの笑みを見せて立ち去っていく。
「うー…緊張した…」
「メロ…私…本当に…」
 Lの姿が見えなくなって、ほっと吐息を漏らすメロに、おずおずと私が声をかける。
 ぽんぽんと進んでいく話の、言われたとおりにして、メロに迷惑がかからないかが心配で。
「良かったな」
 『申し訳ありませんでした』と繋がる言葉は、メロの優しい笑みによって遮られた。
「Lがああ言ったからには、大丈夫だろ。一応こんな所にいて誰かに見つかっても困るから部屋に戻ろう」
 すっとメロが悪魔と呼ばれる私に向かって手を伸ばす。
 その無防備に伸ばされた手が、どんなに嬉しかったか、きっとメロには分からないだろう。
「ほら、早く」
 その手を取っていいのか、迷う。
 その迷う手をメロが強引に掴んで、二度と戻れないと思っていたメロの部屋へと連れ戻された。
「メロ…」
「何?辛気臭ぇ顔して」
 バタン、と扉を閉めてメロが私を見て眉を上げた。
「…私は、貴方に迷惑を…」
「…まあ、ちょっと冷やっとしたけど…、俺自信が好きでやった事だから、迷惑とか言うんじゃねえよ」
「…ですが…」
「助かって、嬉しくないのかよ」
 不機嫌そうな顔で言われて押し黙る。
 嬉しくない筈はない。
「…嬉しいです」
「なら、ブツブツ言うなよ」
 面倒くさそうに、メロがベットにどかっと座る。
「窓には近づくなよ」
 その様子に、嫌われるのが怖くて私は言葉を失くしてしまう。
(助けてもらったのに、私はこのまま、何も言えないのでしょうか…)
 これ以上言葉を募ると、きっとメロはもっと不機嫌になってしまうだろう。
 それが怖くて、何も言えない。
(でも、あんな風に必死な顔で探してくれたメロに何か、一言、伝えなければ…)
 メロの前で立ち尽くしたまま、言葉を選びあぐねる。
「あの、メロ」
「何」
 不機嫌そうな面に、一瞬口を噤みかけたが、勇気を振り絞ってぎゅっと目を瞑った。
「本当に有難うございました…。嬉しかったです!!」
「バーカ」
 存外優しげな声音に、そろりと目を開けると、口角をあげたメロの表情が目に映る。
「遅ぇよ」



Next second stage


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…懺悔…
に…ニアメロですか!?これ!!どう見ても、メロニアにしか見えない感じで…(オロオロ…)
もう少し手負いな感じを出せばよかったかも…思ってしまったり。
格好いいニアも好きですから…!…って何言ってんだって話ですよね…(すみません)
とにかく、ニアメロになるように頑張ります!!
2006.12.06up




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