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SpecialThankyou☆


 世界で一番の時計技師になった。


【糸の切れたピエロは 自分の足で歩き出す】


 事件の後、私はワタリに引き取られ、数年後にそれまで閉じ込められていた才能を、小さな工房で遺憾なく発揮した。
 私は色々な時間を詰まった時計を修理する毎日を送っている。
 時計が息を吹き返すたびに、幸せな気持ちに満ち足りる。
 けれど、本当に直したいものを直していない気がして、
 幸せだが、何か大事なことを見逃しているような気がしてならなかった。

「Excuse me…」
「いらっしゃい…ませ?」

 イギリス、ウィンチェスター。
 小さな工房で、懐かしい声を聞いた。

「…時計の、修理を…頼めるかな…」
 懐かしい声の主は私と同じく、少し動揺した声を隠しながら近づいて来た。
「品物を…見せていただけますか…?」
 何故、こんなにも心が揺れるのか分からずに、手を差し出した。
 時計に、手が触れる。

「…月くん…」

「 L 」

 時計に閉じ込められていた記憶が一気に甦った。

「お前は今、幸せか?」

「貴方は今、幸せですか?」


今日の空は突き抜けるような晴天だ。



お礼SS・その後 FIN




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