■【裁きの剣】■
07
「…ン…」 シャアアアア… 頭上から滝のように落ち出ずる水音がLの吐息を掻き消した。 月にはしっかり聞こえたけれども。 軽く開いて、相手の薄い唇を食むようにする。 柔らかい肉の感触に月は軽く酔いしれた。どうにもこうにもLと対峙すると体温が上昇する。 「…L…」 名前を呼んで、顎を掴んでいた手を肩と腰に添わせた。強く引き寄せて、背中を反らせたLに覆い被さるように深く唇を合す。 当然、行き場の無いLの手は、バランスを取るように月の腕を支えとして…。 「…ふ……、…っ」 小さく息継ぎ。 甘い声に気をよくする。歯列を擽り、逃げるようにあちこちを探索する月の舌を、Lが痺れを切らしたように捕まえた。 多少、月の腕を握る手に力が籠もる。 「!」 Lの舌が月の舌に絡まった。きゅっと吸われ、ズゥンと下半身に血が集まるのを感じ、月は思わず眉を顰めた。 きっと今、Lは微かに笑っている筈だ。 それを想像して、むっとした。イニチアシブは月自身が取っていたい。 舌を噛まれないように、尚絡みついている生暖かい舌から逃れる。 つっ…と二人を繋ぐ糸が伸びた。 Lの目元が赤くなっている。 同じく唇も色付き、うっすらと覗く赤の刺激色が欲を促す。 「…?」 自己を制御する為に寄せそうになった眉を、寸前で留める。そのかわり、にっこりと微笑んだ。 怪訝そうな表情になったLの足下をさっと掬う。 「…っ!」 ばちゃっ!とLが派手な音を立てて水の中に沈んだ。 「っごほっ!!…っ、いきなりっ、何っ、するん…ですッ?!」 ざばっと水を滴らせて立ち上がった彼の抗議に、月はにこやかに「うん、ごめんね?」と笑う。 Lは何とも言えない表情で月を見た。 「でも、これでお相子だろ」 「…………今迄見た事ない程の負けず嫌いですね…………」 「そう?有難う。…お前に言われたく無いけどね」 「…褒めてません」 月はまた笑った。やはり相手のペースを崩すには奇襲に限る。 腕を、伸ばす。 体を寄せ、 荒々しくキスをした。 「ッ!」 Lの咥内で烈しい攻防が始まった。 月はそれと同時にLの躰を探る。 背中を撫ぜ、脇腹を擽り、内股に指を這わせた。 その度にLの躰は脈を早くし、形の良い長い指で双丘の谷間をなぞれば、彼の躰はびくりと震える。 唇を僅かに離して額をくっつける。閉じた瞼がそっと開いて、視線が合うと、熱に溶かされている筈なのに…未だ、強い視線。 そうでなければ、と月はほくそ笑む。ちょっとやそっとの快感で自分を見失うような輩では、困る。 月はそのまま、Lの足の間に自分の足を滑りこませ、太股でそこを刺激した。 「………、」 声も無く躰を硬直させるLの耳元で囁く。 「随分気持ち良さそうだけど…?そんなに良かったかな、僕とのキスは」 くすくす笑い、耳朶を甘噛みする。Lは微かな甘い声を吐き出しながら擽ったそうに身を捩り、間近にある月の顔を睨み強く押し出した。 「自己顕示欲が強すぎますよ、月くん。」 「…へえ?嫌いなのか?」 「嫌いではありません。…ムカつくだけです」 口角を上げて聞き返す月に、Lは半眼で言い返す。 「それは、結構なことだな」 そのまま月はLの首筋に噛みつく。 「…っ!」 「…とりあえずさっきの答えは先延ばしにしてやるよ」 痛みに顔をしかめたLの首筋を、今度はゆっくり嘗め上げた。 「……ぁ…」 痛みの後の柔らかい愛撫にLの躰が反応する。そのまま首輪を指でずらし、その場所に深紅の跡を残した。 歯形はLのゆるやかな髪で隠れ、痕は金の首輪の下に潜むだろう。 隠匿されるであろう情事の痕跡を思って、月は目を細めた。 白日に晒される見えやすいものなど、楽しい筈は無い。深く深く…露見しないものを探すから面白いのだ。 世の中総てそんなモノ。 だから、底の見えなそうな、彼を暴こうとするのが、こんなにも楽しいのだろう。 To be continiued …アトガキ… とても困った事に、更にェロが終わりませんでした。な…なんでー… 気合いをいれ過ぎましたか? 空回りですか? 軽く2ヶ月くらい放置していたのにこれです。報われません…。(泣) ってゆーか眠れません。(のでやけっぱちで書いてます) 2005.09.12 ≪back SerialNovel new≫ TOP |