■【裁きの剣】■
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「ぎゃっ!お兄ちゃん大丈夫?!」 【裁きの剣】 今日で三度目のミスだ。 ズキズキする額や膝に手を当てて、苦く思う。 「…大丈夫だ」 久しぶりの休日。 ここの所、とても忙しく、ろくな休みも取れなかったが、今日はまる1日オフだ。 それで、妹のサユと一緒に食事をしていたのだが、湯呑みはひっくり返す、調味料はかけ間違える、それに始終上の空。 …挙げ句、柱にぶつかった。 「お兄ちゃん働き過ぎなんじゃないの…?今日はゆっくり休んだらいいよ」 月の隣りやって来て、「ね!」と元気づける妹に、月は笑顔を引っ張り出して来て「そうするよ」と微笑む。 「サユは勉強頑張れよ」 「もー!お兄ちゃんの意地悪!」 ぷっと頬を膨らませる妹に「ははっ」と笑って居間を出た。 すー、っと軽く息を漏らす。 こんな事ならまだ、仕事をしていた方が何倍もマシだ。 …余計な事を考えずに、済む。 「…本当に挨拶も無しに旅立つとはね…」 部屋につくなり、クッションにどかりと身を預け悪態をつく。 「…せめて一言無あってもいいと思うけどね、人間としての品性を疑うよ」 ふんっ!と鼻息をついてから眉間に皺を寄せる。 自分でも分かっている。Lに逢いたくなくて、その時間を作らないように極力家に帰らないようにしたのは月だ。 この事で、Lを責めるのは間違っている。 「…、」 ぐっと歯を噛み締めて、心の苦さをやり過ごす。 奥歯が悲鳴を上げ、握り締めた拳がぬるりとして、ようやく月は我に返った。 心身を落ち着かせる為に殊更ゆっくりと息を吐く。 (…せめてLがもっと長くいれば、こんな思いをする事なんて無かったのにー…) だが、最初から期限つきの関係だと分かっていた。 (…抗争がまだ先だったら…) こんな風に別れるのではなければ、未練なんて残らなかっただろうに。 (…何を考えているんだ…、僕は。…もう終わった事だろう) 終わった事だから、忘れなければ…と思う端から思考は空転して、何時の間にかLの事を考えている自分がいる。 そして思い知らされる。 自分が思った以上にLにはまっていた事実に。 …そして、どんな別れ方をとったとしても、別れた後に同じ思いをするであろう事に。 (…アイツは何も思わなかったのか) 別れる事に、離れる事に。 ジクジクと胸の内が、訴える。 苦虫を噛み潰したような、やる瀬なさがいっぱいに広がった。 なぜ、キスなんか仕掛けて来た。 なぜ、抱かれたりした。 なぜ、 何故、笑って「さようなら」を言ったりした! …僕はまだ質問の答えすら聞いていないぞ! …Lッ!! To be continiued …アトガキ… 続きを書いてない、書いてないとばかり思っていましたが、何やらここまで書いていた模様です。 小人さんのお陰でしょうか…!(笑) 月とLの再会が予定より早くなりそうです☆ 水野やおき 2006.04.08 ≪back SerialNovel new≫ TOP |