■【裁きの剣】■
25
「待てっ!!入るなっ!!」 制止の声が間に合って本当に良かったと思いました。(BY.夜神月) 【裁きの剣】 「やはり神、こちらへ?」 「魅上、か…?」 思いっきり冷や汗を掻いて、月は安堵の溜め息を吐き出すと同時に脱力した。 「はい。ご報告したい事があるのですがー…」 「待て、ちょっと待…グぅッ!」 「Σ神?!」 「大丈夫、だ!」 外にいるのが自分に従順な魅上で良かったと安堵した端から災難に見舞われて、月はおもむろに蹴りを入れてくれたLをげほげほ咳き込みながら見やった。 「月くんは自分の事を『神』なんて呼ばせているんですね。イイセンスしてますよ」 「いや、あれは…」 「どうやら私はお邪魔なようなので退散するとします」 先程まで目を潤ませて、月の下で喘いでいた人物とは思えないくらいの素っ気なさで身支度を整えるLが、ゆっくりとした動作で机から腰を浮かせたので、月はその動きを阻止するために肩を押さえつけた。 「…ちょ、拗ねるなよ!」 「『誰が』『どうして』『拗ねている』と…?」 最早絶対零度の冷たさのブリザードのふきすさむ中、月は軽く頬を痙攣させる。 (怖い…!) 「早く着衣を直したらどうです?」 一度チロッと月の下半身に目線を寄越してから、Lは月のハンカチを勝手に抜き取去って半眼の呆れたような表情で、嘆息しながら月の手を払う。 その手で彼が吐き出した欲をあらかじめ机に用意されていたメモ用紙と月のハンカチとで始末し、そのままゴミ箱へホイと投げた。 (…人の持ち物を勝手に捨てるなよ…) 思ったものの、これ以上機嫌を悪くさせたくなくて黙々と身支度を整えていると、Lはさっさと換気窓を開いて、着衣を整えた月の前に立つ。 「私、別に拗ねても怒っても無いんですよ、本当に。ただ少しだけ気分を害された気はしましたが」 あまりにLが平常心そのもので、逆に月は眉を潜めた。『それはどういう意味だ』と詰め寄りたくなったが、外に魅上がいる事を思い出して控える。 「…そう。でも一応謝っておくよ。ゴメン」 「いえ。…では」 短い返事が返って来たと思ったら、Lが扉を開け魅上に「どうも」と一言告げてから立ち去って行った。 「…あの、神」 魅上の少しばかり戸惑った様子がおかしくて、月は小さく笑うと、Lと抱き合った机を外して一番奥の座席に座り直した。 「…早く入れ、急ぎの用なんだろう」 やる気の抜けた手で頬杖をつきながら魅上に手招きしてみせた。 「はい」 一度は戸惑ったものの、すぐに冷静さを取り戻すと、ツカツカと寄って来た魅上を、月は見上げながら溜め息混じりに呟いた。 「二人きりと確認出来た時以外に『神』と呼ぶのは止めろって言ったろ」 To be continiued …あとがき… 最初は一部とニアメロだけで構成されていた筈だったのに、思いっきり魅上が出てきました(笑) こっちは珍しく(っていうのも変ですが)月くんを神とあがめています♪ data up 2007.07.24 ≪back SerialNovel new≫ TOP |