■【裁きの剣】■ 15

「ぎゃっ!お兄ちゃん大丈夫?!」


【裁きの剣】


今日で三度目のミスだ。
ズキズキする額や膝に手を当てて、苦く思う。
「…大丈夫だ」
久しぶりの休日。
ここの所、とても忙しく、ろくな休みも取れなかったが、今日はまる1日オフだ。
それで、妹のサユと一緒に食事をしていたのだが、湯呑みはひっくり返す、調味料はかけ間違える、それに始終上の空。
…挙げ句、柱にぶつかった。
「お兄ちゃん働き過ぎなんじゃないの…?今日はゆっくり休んだらいいよ」
月の隣りやって来て、「ね!」と元気づける妹に、月は笑顔を引っ張り出して来て「そうするよ」と微笑む。
「サユは勉強頑張れよ」
「もー!お兄ちゃんの意地悪!」
ぷっと頬を膨らませる妹に「ははっ」と笑って居間を出た。
すー、っと軽く息を漏らす。
こんな事ならまだ、仕事をしていた方が何倍もマシだ。
…余計な事を考えずに、済む。
「…本当に挨拶も無しに旅立つとはね…」
部屋につくなり、クッションにどかりと身を預け悪態をつく。
「…せめて一言無あってもいいと思うけどね、人間としての品性を疑うよ」
ふんっ!と鼻息をついてから眉間に皺を寄せる。
自分でも分かっている。Lに逢いたくなくて、その時間を作らないように極力家に帰らないようにしたのは月だ。
この事で、Lを責めるのは間違っている。
「…、」
ぐっと歯を噛み締めて、心の苦さをやり過ごす。
奥歯が悲鳴を上げ、握り締めた拳がぬるりとして、ようやく月は我に返った。
心身を落ち着かせる為に殊更ゆっくりと息を吐く。
(…せめてLがもっと長くいれば、こんな思いをする事なんて無かったのにー…)
だが、最初から期限つきの関係だと分かっていた。
(…抗争がまだ先だったら…)
こんな風に別れるのではなければ、未練なんて残らなかっただろうに。
(…何を考えているんだ…、僕は。…もう終わった事だろう)
終わった事だから、忘れなければ…と思う端から思考は空転して、何時の間にかLの事を考えている自分がいる。
そして思い知らされる。
自分が思った以上にLにはまっていた事実に。
…そして、どんな別れ方をとったとしても、別れた後に同じ思いをするであろう事に。
(…アイツは何も思わなかったのか)
別れる事に、離れる事に。
ジクジクと胸の内が、訴える。
苦虫を噛み潰したような、やる瀬なさがいっぱいに広がった。

なぜ、キスなんか仕掛けて来た。
なぜ、抱かれたりした。
なぜ、
何故、笑って「さようなら」を言ったりした!


…僕はまだ質問の答えすら聞いていないぞ!

…Lッ!!



To be continiued



…アトガキ…
続きを書いてない、書いてないとばかり思っていましたが、何やらここまで書いていた模様です。
小人さんのお陰でしょうか…!(笑)

月とLの再会が予定より早くなりそうです☆
水野やおき
2006.04.08


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