■【Lovers】■ 02

R−18

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇side 普

くちゅくちゅと淫靡な音が響いて、プロイセンはマジこいつヤベーと熱の登った頭で考えた。
反論する為に開いた唇の隙間を縫って侵入して来た器用な舌は驚くプロイセンの舌に容易に絡みつく。ぬるりと舐めあげられて分かりやすく下半身に熱が溜まった。
舌を噛もうかどうしようかと逡巡している間にも、イギリスはいやらしい手つきでプロイセンの太ももを撫であげ、膝で股関を刺激してくる。情緒も何も無い即物的な動きなのに、なぜか空気が官能的にいやらしい。
「っ…」
びくりと反応すると、イギリスが微かに笑った気配がした。悪いかよ、と毒付きたくなる。
しかし、流石エロ大使。こんな風に煽られたら、反抗なんて出来なくなっちまって、受容する意志を体で伝えると、一旦唇が離れて行った。
先程まで泣きっ面だった翠の瞳が今は満足そうに眇られている。頭堅そうで、中々どうして順応性も高いようだ。
(…つか、高すぎるだろ)
さっきまでこの世の終わりみたいな顔をしていた癖に。
娼婦顔負けの淫靡な笑みをはいて、耳元に「悪いようにはしねぇよ」とか、言って来る。
お前は悪代官かと突っ込みたくなるあくどい台詞を吐くイギリスに『既に悪いっつーの』と言ってやりたいが、特に想い人もおらず、イギリスの事も特に嫌いでは無いプロイセンにとって、相手が国との不純交遊は特に影響の無い据え膳である。
(…特に国情に問題も出ねぇだろうしなぁ…)
イギリスがそのまま耳を舐め上げた後、ゆっくりと唇を併せて来た。
柔らかいモーションで食んで、舐めて…奥底に仕舞われた官能をじっくりと引き出すようなやり方にじれ、噛みつくようにすると、軽くあやして引いて行った。
まるでせっかちな子供に対するような仕草に唇を尖らせると、イギリスの唇が弧を描いた。宥めるように掌が撫でられ、イギリスの胸に誘導される。
ベストの上からでもツンと尖った乳首の感触がした。やんわり揉むと「ふぁ」とあられも無い声を口から漏らしている。
実に腰に響く甘い声である。
プロイセンはふよふよとしたそれを服の上から幾度か揉んだ後、緩くなった着衣の腰元から手のひらを侵入させた。しっとりとした素肌はなんともけしからんすべらかさで、プロイセンは目を瞬かせる。以前からこうなのだろうか?
疑問を放ってそのまま肌を辿り、胸の膨らみに直に触れる。マシュマロのようなふわりとした、しかし弾力も兼ね備えた乳房の感触に思わず「おお」と声を上げる。
「すげぇーな、乳。この触り心地、俺様好みだぜー!」
ふよふよふよ。
びくびくびく。
揉みしだく度にイギリスの体が小さく波打つ。
何度か繰り返した時、イギリスが身を捩ったので、顔を上げるとビックリするぐらい真っ赤で思わずぽかんと口が開いた。
「おい、イギリス、どーしたよ」
真っ赤な顔の目許には涙が滲み、口元はきつく噛み締められている。
驚いて問い掛けると、ギュッと目を瞑ったまま「揉むなバカぁ!」と叫ばれた。
「…お前が揉ませるように仕向けたんじゃねーか…」
なんと理不尽な訴えだろうか。思わず半眼になって呆れ顔を晒すと、涙目のイギリスが「こんなに感じるとは思わなかったんだよ!」と叫んだ。
なんだそれ、意味わかんねぇ。
「…お、男の時には、こんなに感じた事はなかったんだよ。有り体に気持ちのいい事は好きだし、そりゃ、男の時だって乳首弄られて感じる事は出来てたけど、…でも、これはねぇよ!」
「…いや、これはねぇってのは俺様の方なんだけどよー」
間違った事は言ってない筈だ。しかし涙目のうるうるした感じで訴えられるとこっちが悪い事をしているような気がするから困る。
しかしイギリスはすんっ小さく鼻を啜ってから、「童貞に胸揉まれただけでイくとかヤだ…」とかいい放った。
…どこに突っ込めばいいのかわからない。
(俺様は何故バレたと慌てるべきか?それとも止めて欲しいなら煽んなと怒るべきか?)
→取りあえず、続けるべき。
「ふぁっ!」
もみもみと手の動きを再開する。不意の動きだったからか、イギリスの唇から甘い声が漏れた。
「あっ!あっ!やめっ…」
ふるふるとイギリスが首を振る。
「何言ってんだよ。先に仕掛けたのはオメーだろうが。痛いってんなら兎も角、気持ちいいから止めろとかマジ意味わかんねぇ。つか、お前だったら止めんのかよ」
「…うっ…」
痛い所を突かれたらしい。抵抗が弱まって、代わりに翡翠の瞳に新しく涙が盛り上がった。
「ふぁ…あ、ん!」
さわりと乳首を親指の腹で撫でると分かりやすく息を詰めた。摘みあげると背筋がぴんと張る。
「やぁっ…やめっ、ぁっ!イくっ…!」
くりくりっとこねてやるとギュッと目を瞑り体を強張らせてびくびくっと打ち震えた。
「…っぁ、ぁ」
波を乗り越えたのか、全身の力が抜けてプロイセンにもたれ掛かってくる。忙しない吐息が首筋をくすぐって悪い気がしない。
「おー、マジてイったのかー?」
「…っ!悪かったなっ…って、テメエ何しやがる!」
「へ?だからお前が誘って来たんだろーが。つか耳元で怒鳴るなよ」
「そっ、それはもう分かってる!つぅか、じゃなくて…頭!」
「頭ぁ?…何か大変そうだったから労ってやってるこれの事か?」
なでなでなで。
イギリスの体が倒れ込んで来た段階で服の中から抜いた手を腰に手をまわし、余った片手で頭を撫でた。怒鳴られる筋合いのものでは無い筈だ。
「…やっ、ヤメロよ」
「何でだよ?」
「………」
「ワケのわかんねぇ奴だなー」
「……………」
呆れ混じりに告げても回答は無言。まぁいいかとわしわし頭を撫でていると、「ばかぁ」と消え入りそうな声で呟いてから、首筋を吸い付かれた。
「…さっ、最後まですんのは魔法がかからないと困る俺の為であってお前の為じゃ無いんだからな!」
ぎゅっと抱きつきながら言ってもあまり説得力は無いんじゃねーのか、とプロイセンは思う。今までなんでフランスはイギリスを構い倒すんだろうかと思っていたが、成る程、付き合いが長いとこういう面を見る事もあるワケだ。
プロイセンとて今までイギリスとの付き合いが無かったワケでは無いが、隣国であるフランスと比べると雲泥の差。勿論こんなイギリスなんて見た事が無かった。
「ケセセ!まぁそれでもいーぜ。」
プロイセンが笑って答えるとイギリスがキュッと服を握り締めた。それからむくりと上半身を起こす。
俯き気味では視線は合わない。しかしりんごのように赤くなった頬を晒しながら、イギリスはプロイセンの上着を剥いて行き、現れた素肌の中心線に指を滑らせた。
つっと滑った指先は臍で止まり若干のむず痒さを残して離れていく。
代わりに、性別が変わっても変わらない薄めの唇がちゅっちゅっと肌を啄み、手のひらが腹部を撫でた。
次に臍付近に唇が移動する。
「お」
僅かに指先の余韻を残した肌を逆順で舐め上げられ、むず痒さが走って行く。イギリスはそのまま胸部へ唇を移した。
「なんか、くすぐってぇ?」
ちゅっちゅっと啄まれたり、舌で舐められたりしても、気持ちよさは感じられない。
「…だろーな」
肩を竦めてからイギリスが軽く歯を立てる。ぴりっとした痛みは伝えて来たが、やはりそれ以上は無い。イギリスは仕返しを諦めたのか、プロイセンのベルトを緩めると、前を寛げて目的のモノを取り出し、両手で包むとその先端に軽くキスをした。
「…っ」
こちらは素直に刺激を享受したプロイセンに、イギリスがまるで愛おしいものを触るように優しく触れて来る。唇で舌で、指先と掌も使って余す事無い愛撫を受けて、直ぐに硬度と角度が増した。
「…ん」
それに満足そうに微笑んで、今度はぱくりと咥え込まれて、プロイセンの腰がビクリと跳ね上がる。
(う、お!)
丁寧な愛撫も、緩やかな微笑みもプロイセンにとっては想定外のものだ。
流石はエロ大使、と先程は思ったワケだが、今は困った人を見過ごせ無い心優しい天使に見えて来た、…ような気がする。…まあ、ただの錯覚だ。
(しかしなんつーか、意外っつーか…)
エロ大使の名誉(?)に賭けても、上手いんだろうなぁとは思っていたが、まるで愛しい相手に触れているかのように丁寧に、気持ちを込められて奉仕されると、何だか勘違いしてしまいそうで、ちょっと困る。
(…まぁ、俺様はイギリスが惚れてもおかしくは無いくらいカッコイイけどな!)
だが、そういう事では無くて。
コイツは先程まで男で、確かにそういう経験もあったのだろうが、分かりやすく巨乳好きでもあった。
同性に対して何か思う事がありそうなのはアメリカだが、それが親愛なのか恋愛なのかはプロイセンの知る所では無い。
兎も角も、今までプロイセンに惚れてはいなかった事だけは確かだ。
「…ぅ」
それを証拠に先程まではからかいと興味はあれど、こんなに真剣に丹念に触れては来なかった。
「…く」
どこでスイッチが入ったのかは知らないが、こんな風に扱われるのは困る。イギリスに与えられる快楽に病みつきになって、この先欲求不満になったらどうしてくれると心の中で罵った。
自身の手で抜くのとは違い他人の手、しかも咥内という未知の感覚を覚えてしまっては、一人楽しすぎるソロプレイでは満足できなさそうな気がする。
口淫自体はまだプロのお姉さんに頼めばどうにかなると思うのだが、それでもこんなに熱心に、丹念に触れて貰えるとは思えなかった。
「ぅあ…もう、やべぇ…っ」
腹筋が震えて、全てが痺れる。ストロークを速めたイギリスの咥内に熱いものを爆ぜさせ、強烈な快感を貪ったあと、プロイセンは息を詰めた。
「…ぐっ」
ちぅっと鈴口を吸いあげられて、腰が震え、残滓を丹念に舐めとられて熱が持続する。
「…どーだよ」
再び硬度を取り戻した辺りでイギリスがやっと顔を上げた。どうもこうも見りゃ分かるだろう、熟れた頭で考えた。
「…死ぬ」
「そーかよ」
言葉は素っ気ないが響きは満足そうだ。軽く目を開けると思った通り満足そうな顔をしていた。
プロイセンは再び瞼を閉じて上がった呼吸を整えるのに集中する。続きはしたいが、今すぐは指先一本も動かしたく無い。
「…んあ?」
ひたりと開放された裸体に温もりのある重みがくっついて来る。ひやりと冷たい所はベルトのバックルだろうか。
そんな事をぼんやり考えいる間にゆっくりと体温が離れて行った。再び瞼を開けると、今度は詰まらなそうな顔をしている。
「…もーちょい待てよ」
「…いいけど」
余りにはぶてた顔をしていたのでそう告げるとやはり詰まらなそうな声が帰って来る。
(…初心者にも厳しいぜー…)
と思って、違和感に気づく。
「おい」
「…んだよ」
「もっとくっつけよ」
「え」
気だるい手で引き寄せて、その体に腕を回す。時折ぽんぽんと背中を叩けば、すりっと頬擦りをしてくるので分かりやすい。
つまり、なんだ。誉めて貰いたかったのだろう。
その辺は弟を育てた経験からなんとなく想像がついた。
プロイセンは落ち着きを取り戻す毎にイギリスの背中や頭を撫でたりする。頬をなぞって、キスをする頃には、イギリスの表情が砂糖菓子のように甘くなっていた。
(あー、なんか苦ぇ…)
舌を絡み合わせて、漸くイギリスが吐き出す事も唇を漱ぐ事も無かった事に気づく。
自分の、ましてや他人の精など舐めた事など勿論無い。以前フランスが口でして貰うのはいいけど、自分の精液を味わうのはねぇ…と零していた事を思いだした。
(確かに苦ぇっちゃー苦ぇんだけどよー)
精一杯の愛情を表現されているようで悪くは無い。どう感じるかは個々によるだろうが、少なくともプロイセンは悪い気はしない、と、そう思った。


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