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今日もまた１日が始まる。 窓から零れ広がる、明るい光に、僕は目を細めた。 【君の死を悼む】 …君の死を悼む事が出来てもいいのでは無いか、という考えが突如脳に浮かんだ。 きっかけは特に無い。 ただ、窓から零れる日差しを見ていてそう思ったのだ。 (………) Ｌは常に僕の中にアる。存在する。 『Ｌ』に扮する僕は、『あのＬ』として不自然に見えない言動が必要で、頭の中は常に彼の姿を追っている。 そしてあまりにも簡単になったゲームに、キラとして、Ｌとの飽きないいたちごっこを脳内で想定する癖が抜けず、 姿も見れないければ、声も聞けない、 そんな彼の姿を僕の頭は壊れたレコードのように何度も何度も再生させた。 彼は僕の脳内だけで不自然に生かされている。 (Ｌは憎いヤツだったが…) それはあくまでキラとしてであって、夜神月という個人としては異なる感情を抱いていた。 (自覚はしていた。…僕はＬの事が好きだった) キラとしての記憶が戻ってからというもの、彼への気持ちは可愛いさ余って憎さ百倍。愛しさが募る程、苦渋の選択を強いられる僕は、同時に彼を憎悪した。 キラとは違ったまた別の意味で。 どうして、僕なんかを愛したりしてしまったんだ、竜崎。 必ず僕を捕まえようとする思いの傍らで、彼が戸惑っているのを僕は確かに知っていた。 ノートを持って消える、情報を信頼出来る者に渡しておく、こっそり試し書きをしてみる。 そんな事、幾ら僕が監視しているからと言っても、やろうと思えば出来た筈で。 殺人ノートを手にしてすぐに他国と連絡を取っても良かったのだ。 キラは夜神月に戻れない。 Ｌは個人に戻れない。 だが キラは夜神月であるし、Ｌは個人である。 そんな風にして、水面下、お互いが賽を投げた。 夜神月に戻れないキラと、個人に戻れないＬと。二人が共存してゆける道などは無いから。 …そうして勝利を収めた僕の手には更なる憎悪が一握り。 「どうして僕を一人にしたの」 電車を乗り継いで、空気の気持ちよい郊外。 彼の墓標の前に、僕はひっそりと呟いた。 「『Ｌ』のくせに」 彼の死を、もうそろそろ悼んでやってもいいのでは無いか。 「…お前が憎いよ、竜崎」 そんな思いが彼の肉体が眠るこの場所へと僕を運ばせて、 そして僕はというと、そんな彼に向かって、悼む言葉の一つもかけてやらない。 「…誰が悼んでなんかやるものか。お前は僕に負けたんだ…、ずっと付き合わす事の出来る権利を僕は持っている…」 静かに眠らせてなんかやりはしない。 「お前を一生憎み続けるんだ、僕は」 そう宣言すると、柔らかい日差しが流された雲に覆われて影った。 それは嵐の前兆のようで、僕は僅かに口角を上げた。 「一人だけ自由にしてなんかやるもんか」 終了 …………………… …後書き… 意味わかんね！…水野です。 いや、なんかこう、竜崎を好きで好きでたまらない、自己中な神を書きたくなりまして。 好きで堪らないから、逆に赦せない…！みたいな感じもいいかなーと。 キライトくんの場合『憎悪』＝『愛』でいいんじゃなかろーか。 二人に祝福の鐘がならんことを！ 2007.03.03up 水野やおき ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |