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「…ああ、とても綺麗ですね」 【降り積もる雪がとても綺麗で】 あ、夢なんだな。 そう思った。 だって、見た事も無い景色だし、小煩いリボーンも、騒がしいチビ達もいない。 それどころか、人っ子一人、いやしない。 (なんて静かな場所なんだ…) ゆっくりと辺りを見回す。広い荒野にぽつんと独り、ツナは大地と空とを眺めてそっと息を吐いた。 「…、…骸？」 微かな吐息に乗せて、ある人の名前を呼んでみる。 いつも不思議な笑みを浮かべた、ツナの事を『面白い』と言った男の名前。 「…骸だよ、ね？」 「まったく君は本当に面白い…」 「うわっ！」 ツナしかいない、夢の世界で何の確証があるワケでもなく、そう呟いた。 その呼びかけが即座に背後から返って来て、ツナは飛び上がる。 「…おや？私の名前を呼んでおいて、何をそんなに驚く事があるんです？」 振り返えると、そこには口角だけを持ち上げた、男の顔。 「え、いや、だって…」 さっきまで誰もいなかったのに、突然背後から声をかけられれば、普通は驚く。 それを説明しようと思えど、未だ飛び上がったままの心臓が許してくれなくて、ワタワタと慌てるツナに、骸は「不思議な人ですね」と呟いた。 「私がいる事を知っていたのでは？」 「…い、いや、いるっていうか…気配っていう感じで…別に確証があったワケじゃなくて…ええと」 何の確証があったワケではなかった。ただ、この世界全てから、骸の存在を感じたのだ。 そう、しどろもどろと、眉を上げて聞いている骸に何の意味も持たないジェスチャー付きで説明した。 聞き終えると、骸は呆れたような顔をした後、 「ああ、本当に変な人です、君という人間は」 クフフと笑い、不毛なばかりの大地を眺めた。 「…それで、この世界をどう思います？」 「え？」 「この不毛の土地を見て何と感じますか」 「…ええと」 「率直に」 この世界全てが骸のようだ、と言った後だったから、答えあぐねていると、見透かされたように声をかけられた。 ツナはそれでも少し迷って、言葉を選びながら口を開く。 「…怖い、かな」 何も無い、土と空だけの空間。 「飲み込まれそうで、どこに行っていいか分からないなくて、怖い…。ちょっと、悲しい。…でも、凄いと思う。綺麗だとも…これで雪が降ったらもっと綺麗なのになぁ」 最後は本当にただ思った事を口に出した。 褐色の大地と、にびいろの空を繋ぐものがあればいいと思って口に出した。 「…あ、雪！」 ツナの望み通りに、雪の欠片がちらついた。 「…そういえば、君はそういう人間だった…」 「…え？」 「いえ、何でも。しかし…まあ」 骸が空を見上げたので、ツナもまた空を見上げた。 首が痛くなるくらい、ただひたすら、骸と空を眺め続けた。 大地がうっすらと柔らかい白に染まっていく。 「…ああ、とても綺麗ですね」 ツナは夢の中で小さく頷いた。 終わり ……………………… …懺悔… 骸ツナ？ リボーンでは恐らく初めまして水野です。 『マフィア風情が』でときめいてから暫くが経ちますが…気がついたら書いてしまいました…。…今更！ しかも物凄くぬるーい挙げ句、山なし意味なし落ちなし…！…あは！ ここまで読んで下さって有難うございました！ 2007.02.07 up2007.03.03 水野やおき 拝 ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |