私は彼のクロスを見て、やけに納得したものだ。


第二話・白い悪魔。


「おまっ…!…!」
 金色の彼、メロは私を目視して、声をあげかけ、口を噤んだ。
「…、お前。例のアレじゃないのか?」
 うずくまる私の頭から爪先までを見て、声を抑える事にした彼はきっと怖いモノ知らずなのだろう。
 静かに声をかけてくる彼に対して、私は偽ることなくコクリと頷いた。
「ええ、その通りです」
 ああ、私もなんて怖いもの知らず。
 本当なら、彼に暗示でも何でもかけてこの場を去らなければならなかったのに、それをしないどころか、あまつさえ素直に頷いてしまうなんて!
 自分でもありえない出来事に私はおかしくなってしまった。
 しかし、能面のような表情はきっと筋肉が退化してしまったのだろう。笑みの形も作らずに、ただ彼だけをみつめる。
「――いいのか。そんなに簡単に白状して」
「いいも悪いも。このいでたちで、そうでは無いと突き通す方が難しいものですから」
「まあ、そうかもな。…ところでお前、怪我してるのか」
 ちらりと、私と同じ黒い瞳が私を探るようにする。
「ええ。傷自体は深いものではありませんが」
「…ふぅん。見せてみろ」
 彼は黒く長いコートの裾を翻しながら私の傍に歩み寄って膝を折る。
「手、退けろ」
 腹部を押さえている私の手に軽く触れて催促する姿に、私はゆっくり問いかけた。
「私が怖くないのですか?」
 すると彼はフッと小さく鼻で笑う。
「今は弱ったタダのガキだ。それにこれが見えないのか?」
 彼は笑みをかたどったまま、トン、と軽く己の胸元のクロスを弾いた。
(ガキは貴方も一緒でしょうに)
 見かけるに、どうみても、年齢は同じくらい。
 優位に立つことが習性なのか、彼は私の手を払わせた後、腹部を見つめる。
 真顔で腹部を検分されて、私はその視線に少し驚く。
 興味本位だろうが、何の理由で私に近づいたとて、こんな顔で思案されるとは思わなかったのだ。
 彼は数分ほど私の傷口と顔色を見比べてから、血に染まった手を取った。
「!」
「来いよ。どうせ行く宛ても無いんだろ?手当てくらいはしてやるよ」
 驚きに目を見開いている私に向かって彼はにっと笑みを浮かべた。
「俺とソコが怖くなけりゃあな」


Next second stage


…………………………
…懺悔…

みじかー。
でもまあ、こんなものか、という気もいたします。
もしかしたら、今までの方が長かったのかも!!(笑)
まあ、連載文としては長く短く…。平均値がよくわかりませんので、適当にイきます☆(いつもじゃん)
因みに『例のアレ』=『白い悪魔』ということです。
いつもならば、この辺を隠し隠し進むところですが、今回は普通にネタバレで(?)
それよりも、ニアメロの筈なのに、何故かニアが受けこさんっぽく、メロりが攻めっこみたいな感じになってます。大丈夫なのか、私。(ニアメロなんて書いて…)
いやいやいや。メロは強い受けこさんで!
水野やおき 2005.11.13

日記での連載形式をとっておりましたが、移しました。
2006.06.08




……………………
[0]TOP-Mobile-