じっとりと嫌な汗が流れる。


第11話『L』


「今から戒めを解きますが、騒がないで下さい」
 静かな声が聞こえて、羽交い絞めにされた体が開放された。
 最小限の動きで身を翻すと、黒衣が目に入る。
 胸には精巧な造りの十字架。
(この院の…!)
 では。
「ここから逃げる術はありませんよ」
 少し伏せ目がちに辺りを窺っていた黒衣の青年が静かに呟いて、ぐっと私は眉間に皺を寄せた。
 殺気は感じないが、逃がしてくれる気は無いらしい。
 仕方が無い、と悪魔の所業だが、術で相手を昏倒させようと企んだ。この院のものに通用するか分からなかったが、生き延びるにはそれしかない。
 指先で契約印を結んで、ばっと腕を上げた。
 後は発動させて相手を吹っ飛ばす筈だったが、いつの間にか抑えられた手に阻まれて、息を呑む。
 そういえば、先ほど後ろを取られた時も、私に気配など悟らせなかったのだった。
 つまり、相手の方が数段上手だという事だ。
「騒がないで下さいと言ったじゃないですか、見つけてくださいといっているようなものですよ?…ああ、私の言い方が悪かったのですね。」
 このまま死ぬしかないのか、と強い落胆を感じた瞬間、不可解な顔をした青年が少しだけ口許に笑みを乗せた。
「私は貴方を害する気などありませんよ。ここから逃げる術が無いといったのは、ここ以上に安全なところは無い、という意味です。もうどこも包囲されてますから、目を盗んで出ていく事など出来ないでしょう。そして私にもメロにも貴方を引き渡す気はありません」
「…なぜ…」
 こんな都合のいいことがあるだろうか。
 そう考えて、もしかしたらメロはメロの信用出来るものだけに伝えていたのかもしれないと思いなおす。
 あんなによくしてくれたメロ。
 彼を育んだ地の人間なら…あるいは―?
「私は貴方の素性などどうでも構いません。メロが拾って来た猫なら、私の身内です。」
(…猫?)
 そして、口先だけの笑みでは無い顔で、青年が笑いかける。
「メロはバレてるなんて思ってなかったみたいですけどね」


Next second stage


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…懺悔…
まあ、誰というか、Lですよって話ですね!
L好きな私としては、格好イイ登場を目指したワケなんですが、どうなんだろうか、これは。
Lは身内にとっても優しいと信じて疑ってません…ってさっきからL、L言ってばかりですね、ニアメロなのにね!!
ニアは猫扱いです(笑)

2006.10.09up




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