「…ってぇ…!」
ロッドに転送された、一千年前の人間界。
多大な力と寿命を使う空間移動は、ロッドの力だけでは無く、メロの力も奪ったようだった。
「…っちくしょ…、帰ったら殴ってやる!あのハゲ!!」
メロは悪態を吐いてから、力を奪われたお陰で何が何だか分からないうちに、自然落下で衝突した地面からゆっくりと身を起こした。
しかし、何の力を使わなかったワリには衝撃は小さかったように思う。
訝しく思って、もしかしたら、何かクッションになるものがあったのかと地面である筈の場所に視線をやった。
人間が下敷きにされていた。


【悪魔の条件】


「きゅう…」
「…『きゅう』?…うわっ!?」
「だ、だ、大丈夫か?!オイ!」
(不可抗力で)下敷きにしてしまったらしい人間の上から慌てて跳びのいて、メロは倒れている人間の肩を叩いて意識の確認を取った。
「………」
「…、おい」
大事な任務を任されて転送された、その第一の事件がこれか、とメロは眉間に皺を寄せながら人間の肩を今度はがくがくと揺さぶる。
「…」
「…駄目だ、伸びてる」
一応、この人間はメロのクッションになったのだ、このまま放置するわけにはいかないと、盛大な溜息を吐いてメロは思った。



小さく、遠く、声が聞こえる。
誰かと諍いをしているような声に聞こえるが、一つしか声は聞こえない。
しかも、聞いた事の無い、声。
夢でも見ているのだろうか、とエルは思う。
ふと、胸の息苦しさが消えた。
同時に胸の深くまで空気が入って来た。
「…ふはっ」
「目、覚めたか?」
暗い眠りの淵から、まるでバイクで風を切るような感覚でぶわっと意識が浮上する。
「…ぁ、ぇえと?」
目に映ったのは、琥珀を光に透かしたような、見事な黄金色。
「気絶してた。大丈夫か?大丈夫だな?」
「ぇ?!…ぇえと、私…?あの、有難うござ…っ?!」
猫のような目がじっと此方を見て、エルは前後を思い出せないながらもお礼を言おうと身を起こす。そして、肌蹴られた己の胸元を見て息を詰めた。
「…ああ、息苦しそうだったから…」
「何するんですか!!!この助平〜っ!!!」

夕方の真っ赤な空に、思いっきり頬を張る乾いた音が突き抜けた。


Next second stage


…………………………
…ひとこと。…
そっとしておいて下さい(笑)

日記での連載形式をとっておりましたが、移しました。
2006.06.19




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