食べ物が焦げるいい匂いと、リズミカルな足音と。 それがメロの鼻と耳を刺激して、覚醒に導いてゆく。 ふわり、人の近づく気配がした。 自分の周りに料理などをする輩がいただろうか。 それも、自分の寝所に出入りのできる間柄のヤツで。 マットはしないだろう。ロッドだったら笑ってしまう。 ならば、伽相手に連れ込んだ一夜限りの女だろうか?マットやロッドよりかは納得が出来る。 しかし、そんな手料理なんて作るような甘いヤツを相手にした覚えは無い。 …でも、調度良く腹は空いてきて、チョコだけじゃ、ちょっと足りそうにないー…などと思った。 「あ、起きましたね」 「!」 重い瞼をこじ開けると、艶やかな黒髪と、大きな目が視界いっぱいに飛び込んで来た。 「ちょうど朝食が出来たとこ、なんですよ。メロは鼻が利きますね」 ふっとエルが視界から外れ、テーブルへと歩きだす。 「いま、起こそうと思ってたんです。メロはパンを何枚食べますか?トースターで焼かない方が好みですか?」 言って、カション!と焼きあがったパンを、怪しい手つきでエルは皿に移す。 「洗面所に、タオルは用意してあります。メロが顔を洗ったら、ごはんにしましょう♪」 形容するならウキウキといったていで、エルは戸棚から蜂蜜とイチゴジャムとチョコクリームを用意する。そしてまたトースターにパンを挟む。 「……」 それを、覚束ない頭で眺めてから、エルの言葉通りに洗面所へ向かった。 「メロっ」 その背中に、エルの声が追いかけて来て、立ち止まる。 「…何」 「パンは?」 無邪気な声音に、メロは一息つくと2枚、と答えた。 「2枚、焼いて」 どうやら、エルがさっき追加した、パン2枚は、エル自身のパンのようだと見当づけて、 (…朝っぱらからどれだけ食うつもりだよ) メロも少しずれた視点でそう思った。 Next second stage ………………………… …ひとこと。… 朝の風景。 Lが料理したり、もりもりと普通の食事を食う事にちょっと違和感。 エルのパン四枚はハニートースト、イチゴジャム、チョコクリーム、おかずを乗っけたので全部食べ尽くしました。 メロも気がついたらエルと同じ量を食べてましたとさ。 2006.06.19up …………………… [0]TOP-Mobile- |