メロは盛大な欠伸をあげて、目を瞑った。

【悪魔の条件】


今朝、あまり寝てないのに、早くに何をしに行くのだろうかと思っていたら、エルがお粥を作ってメロを申し訳なさそうな顔で起こした。
温かい方がいいと思いまして、と差し出されたお粥を、メロは複雑な気分で平らげて、エルの厳命でベッドから彼女を学校へと見送った。
昨晩受けた傷自体はあらかた治ったとはいえ、驚異の治癒力を持ってしてもメロの体は全快してはいない。やっと戻ってきたと思った暗示能力でさえ思いっきり意識しないと発動しない始末。
普通に動く分には特に差し障りが無いが、ここはエルの言う通りに養生するのが吉、とメロはエルを見送った後ベッドに沈んだ。
まあ、焦らずとも傷を負った分くらいの収穫はあった。あそこでアイバーと出会えたのは何という行幸。何とか動けるようになるまで、アイバーの話を聞いてメロはそれを頭の中でまとめる。
この近隣で怪しいのは、メロの睨んだ通り、Lの通う聖ミラン学園にフランシス修道院、それから数箇所の会社などに勤務する男女だった。
(…男の可能性は少ねぇだろうな…)
人間が男だとするならば、天使は女となる。人間あがりとはいえ、その子供は天界で産まれることになるのだ。ニアは地上で産まれた子供。天使の女が地上で産んだというのも考えられないでは無いから、一応チェックはしておこうと思うが。
(一番怪しいのは、Lの学校)
天使は人間に手を出すにしても、やはり自分達を信奉する人間の所へ行くことが多い。
便利だし、穢れが少ないからだと思う。
アイバーの提供する情報の中、Lの学校に潜んでいるのは火口という天使だと聞いた。
実力は中の上。しかし天使にしては極悪非道な部類でまあまあ名の知れている天使らしいのだが、メロはその名前を聞いた事がない。
これは途中で死んだか、アイバー動揺姿を眩ませたしか無いが、天界との小競り合いで死ぬようには思えないし、性格を聞く以上、実権を手放して放蕩するようにも感じられない。
普通に運悪く死んだのかもしれないが、何かあったと考えていいかもしれない、とメロはどうやって探ろうかと頭を回す。
とりあえず、エルが近くにいる分やりやすいかもしれない。
そう思った途端、眠気がメロの体を満たしてゆく。
何しろ、昨日ぶっ倒れて目を覚ました後から一睡もしていないのだ。
(あー、やっぱりソファで寝るべきだったぜ)
寝たふりを決行するのも、疲れるものだ、とメロは溜息をつく。
でもまあ、仕方がない。エルは便利な道具だ。あまり機嫌を損ねないようにしなければ。
あふ、とでかい欠伸をして、メロは柔らかい枕に顔を埋める。
少しだけ、甘い匂いが鼻孔をくすずった。
(嫌いじゃない、この匂い…。…あー、チョコ食いてー…)
メロはそのまま緩やかな眠りに落ちた。


Next second stage


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…ひとこと。…
エルたん道具発言。曲りなりにも悪魔ですからね…!(笑)
2006.06.20 水野やおき
update.2006.10.09




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