この道を覚えて、僕のところにいつでもおいで。


【残酷ピエロは3度啼く】


「L、風呂に入れ」
「…嫌です。だるいんですよ」
 『私は悪くありません』と言わんばかりにLは微動だせずに、枕に顔を埋めたままだ。
「でも、そのままだと汚いだろう」
「確かに放っておいたら、汚いですね。シーツもぐちゃぐちゃです」
「…だから、お前は風呂に行け。僕はその間にシーツを代えておくから…」
「嫌です」
「…お前…」
 半眼で、シーツにくるまるLを睨む。
「…それに、そのままだったらお前が大変な目にあうんだ。僕は親切心で言ってるんだぞ」
 声を低くして、ほら、と月はLの肩を揺さぶった。
「…私は嫌だと言ったのに、何が親切心ですか。原因を作ったのは月くんでしょう、私はだるくて動きたくないんです」
 Lは月の脅しのような声音にもびくともせず、あろうことか月の腕を払うと、梃子でも動かないぞ、というように益々ベットの上の丸くなった。
 月は呆れて溜息を吐く。
 Lはかなり我が侭だ。頭も切れる為、中々月の思うように動いてくれない。
「L」
「月くんの責任です」
 繰り替えされて、月は一拍程考え込む。
 もしかしたら、これは。
「…甘えているつもりか?」
「遅いんですよ、気付くのが」
 まるで月が悪いと言わんばかり。その返答に月はしばし憮然としてから溜息一つ、苦笑した。
 他の人間ならば、鬱陶しいは、腹が立つはでこんな付き合いなんて考えるのも嫌になると思うのだが、今はそれすら愉悦に近い感情を覚える。
「…それは悪かったね」
 言って、Lをシーツごと包んで、鋼色の髪の毛に唇を落とした。
「月くん、後で苺のショートケーキが食べたいです」
「…それは僕に作れという事なのか…?」
「私が作れる筈が無いですからね。どうやらイギリスには日本のようなショートケーキは存在しないようですし、月くんが作るより手立てはありません。」
「…どうしてお前はそんなに偉そうなんだ…」
 そう言うと、Lはふふっと笑った。

「だって嫌いじゃないでしょう?」


////To be continiued////

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