そう、そこに。うん。ちゃんと書けてる。
え?そんな事しなくてもいいって?それはダメだ。
僕たちにも非があったとはいえ、僕が発見しなかったら、お前はきっとあのまま…。
キラだって、それくらいで死罪にしようとは思わないよ。今までの前例から言っても。
それじゃあ、お前はゆっくり休むんだ。
僕は色々と用事を片付けてくるから。


【残酷ピエロは3度啼く】


 雨があがった後の立ち込める濃霧を抜け、月は捜査本部に赴く途中で新聞を買う。
「…流石に何故載っていないか」
病死の人間まで一々載っているはずが無い。
「…気が急きすぎてるな。どうせ本部にいれば性格な情報が入ってくる」
 ふぅ、と大きく息をつくと、月は新聞を折り畳んでから本部へと足を運ぶ。
「何か大きな進展はありましたか?」
 同僚に聞くと、同僚は「残念ながら」と呟く。「そうですか」と月は返事してからデスクに座った。
 月はパソコンの電源をつけると、今日の死者のリストに目を通していく。
 月が書いた覚えの無い犯罪者、第二のキラが書いたのでない犯罪者以外の死は他殺だからだ。
ブゥンと音をたてて、光る画面に情報を落とし、犯罪があったか、目的の名前があるか、細かに探していく。
「…莫迦な」
 思わず呟いて、眉根を寄せる。
(いや、ただ発見されていないだけか)
 一人暮らしだ。発見されなければ、死んでいたとしても分かるはずがない。
(そうだ、そうに決まっている)
「………」
 そうは思うが、何故か今日に限っては不信感が拭えないで、月は何度も次々にやって来るリストに目を通す。
(デスノートに狂いは無い。…なのに、何故こんなにも不安になるんだ?失敗したのか?僕が調べた名前じゃない…。だが)
「…リューク」
『ん?』
 こそりと、月はリュークの名前を呼ぶ。
 背後で奇妙な動作を繰り返していた死神がこちらを向いた。
「思い描く顔は、いくら昔のものでも構わないと言ったな?」
『ああ。間違いない』
 クックック、とリュークが偲び笑いを漏らすのに、月はジロリと睨みつける。
「何がおかしい」
『別に』
「何かノートに関して隠している事があるんじゃないか?」
『無い』
「なら、何を笑ってる…っ」
『それは、言えない。ただ、人間界は面白、だ。何の偶然かは知らないが、奇跡ってやつを死神のオレも初めて知った』
「何…?」
『長い付き合いだ。もし、少しばかりヒントを与えるなら。…お前が見ているのは今だって事だ』
「…何?」
 月の眉間に、更に深く皺が入る。死神の言っている事が理解できなかった。
(今?今よりも前に死んだ?指定よりも先に寿命で死んだという事か?…ならばどっちにしても、何故死亡者リストに載っていないのはおかしい)
 昨日のリストにも、一応目は通した。もしそこにあれば、月が気付かないはずはない。
(今ではない…奇跡?)
 この死神にこれ以上問うても、意味は無いだろう。月は集中して考え込む。
(奇跡、何のだ?僕にとったらデスノートこそが奇跡のようなものだが、それは違うだろう。奇跡、奇跡…)
 ふと、リュークの笑い声を思い出した。
 嫌な予感がして、月はあわててパソコンに向かい検索をかける。

『…年。殺人鬼の立てこもりにより、被害者1名が死亡。』

 時計を見る。
 後、数十秒。


 あの子は本当に可哀想な事をしました。


///to be continued///

……………………
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