『私はキラと呼ばれるものです。予告殺人をご覧になり、私がキラだという事がお分かりになられたでしょう。先日の放送はとても興味深いものでした。ですから私も私の主張を伝える事にします。
私は罪の無い人間が悪に脅えることなく、正義の力に満ちた世界を作ります。
私は私を捕まえようとする人物をけして許しません。先日のLのようになると思ってください。
警察に不審な動きがあれば、即座に裁きを下します。
私はどんな小さな罪も許しません。
Lは多くの犯罪を阻止した、しかし、私はそれを超える事ができます』


【残酷ピエロを幾度も殺し】


(…やはり、こうなったか…)
 膝の上に顎を乗せて、Lは画面を食い入るように覗き込んでいた。
 久しぶりの深い眠りから覚めて、しばしの後、キラが目を所有したであろう事を悟った。
 これは不味いと思って、メロに連絡を取った。一番危ないのは、今でも顔を晒して行動している事のあるメロだ。それから、多数の警察官。
 そこで、月の計画を知った。止めようと思ったが、止め切れ無かった。
(全世界の人間を人質にされた…。咄嗟に『L』は死んだと思わせたが、このままではニアやメロの命が危ない…。私も、もう派手には動けない――、不味い事だらけなのに…、それでも)
 月の命が尽きなかった事に安堵し、脱力している自分がここにいる。
(月くんを、失うかと、思った……)
 今になって、月の気持ちがよく分かる。今回は迷う材料が無かった。キラが誰なのか、分かっていないから。
 会わないと決めた。関わらせないと、決めた。
 これ以上、想わないと決めたのに…。
 失うと思って初めて、こんなに動揺している。
(もしも、また同じような事が起きて、もし、犯人が分かっていたとしたら―、私は―。)
 月と同じ事をしないと限らない。この手で、再び誰かを葬ってしまいそうだ。
 そうしたら、今している事の一切が色褪せてしまうだろう。意味がなくなるのに。
「…高田、清美?」
 膝の間からじっと凝視していた瞳を、更に大きく開いた。キラが選んだ代弁者としてかつての月の恋人、高田清美が映っていたのだ。
(この娘は、月が東応大学に通っていた頃に付き合っていた――…。)
 もし、Lが月の立場なら、汚名を注ごうと高田に接近するのではないだろうか。
 そんな考えが過ぎって、ばっと椅子から立ち上がった。
「L?」
(会わないと決めた。関わらせないと決めた。どちらも、こうなっては意味がない…!)
「夜神月に連絡を…!今すぐに私の所まで来て下さいと…!」


////To be continiued/////

2006.08.31


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