顔を合わせた瞬間、
 初めて会った時の事を思い出した。


【残酷ピエロを幾度も殺し】


 確かに、Lの言っている事は本当のようだ、と月は新に舞い込んだ資料に目を通して堅く目を瞑った。
 もし、あのままテレビに出演していたら、今頃は月の命は無かっただろう。
 こういったものは時間との勝負だ。キラが何者であるか皆目もつかないから、情報が流れるような時間を与えない方が良い。そう思って、準備を急いだ。
 顔と名前で人を殺せる通称キラ。それだけでも非現実的。そのキラの能力があれ以上アップするなんて事、普通考えつかない。
 だから、下調べを怠った。
(Lの鼻を明かすつもりが、そのLに助けられたってわけか…)
 自嘲気味に笑って、天井を仰いだ。
 あの案は犯人と犯行の手口を絞るのに、一番有効な手段だった。それはキラが顔だけで殺せるようになった今も、その前も変わらない。
 だが月は失敗した。月だけの責任ではないとしても。
「…もう警察はキラを追えない」
(追うとしても、非公式の手勢になるだろう。警察の電話回線はパンク状態だ。全世界の人間が人質にとられるなんてね…)
「だとしたら、僕のする事は…」
 警察庁を辞めてもいい。手段なんて選ばない。コケにしてくれたキラを捕まえるのだ。
 皮肉に唇を歪めて、携帯に手を伸ばした。
 まだ、彼女との連絡は続いている。これはチャンスだ。
 ボタンを静かに操作して、通話ボタンを押そうとした瞬間、着信が入った。
「…非通知?」
 訝しく思ったが、そのまま通話ボタンを押した。
『夜神月ですか?』
「…どなたです?」
『Lです。至急私のいるところまで来てください』
 月は驚きを隠せないまま、携帯電話を見下ろした。


////To be continiued/////

2006.08.31


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