時代が違えば、ルールも違う。
 けれど、何の理由もなしに殺人を犯す事をよしとする時代はなかった。
 何の理由もない殺人は、人間にとって自分を殺すのと同意義であるのと同じだから。
 大義があれば、殺人という罪は無いに等しい。
 大義はある。
 けれど。

 私が分かっている事は、

 失うことが どれほど 辛いか それだけだ。


私の中の切なさを
 私の中の寂しさを
私の中の愛しさを
 私の中の恋しさと

私の中の怒りも。
 ありとあらゆる感情を。

ねじ伏せて、押しつぶして、
耐えても、否、耐えるだけ、
憎しみも、悲しみも、それを凌駕する慈しみと、思慕の想いが。

膨らむのです。増加するのです。
果てし無く、果てし無く、限りないほどに。

 ああ、月くん。
 私は最後の最後まで、こうして貴方を裏切るのです。
 謝って済む問題ではないのは分かっています。
 謝るつもりも、ありません。
 だって、謝罪の言葉は、赦して欲しいから。
 だから、私は月くんに向けて、謝罪の言葉を一生口にしようとは思いません。
 赦して欲しいと思わないからです。
 赦して欲しいとは思わないのです。
 ただ。
 ただ。
 ただ ただ。




 そうだ、もし、私が帰ることができたなら、
 お祝いをしましょう。
 怒るアナタを私は軽くいなして、
 アナタはそれで更に腹をたてる。
 ケーキを零しながら食べる私に、それでもアナタは世話を焼いて。


 月くん。月くん。
 例えアナタがキラであっても、
 例えアナタが敵意むき出しのライバルであっても、
 例えアナタがイジワルな世話役であっても、
 例えアナタが私を知らなくても、
 記憶がなくても、
 それでも私を好きだというあなたも。


 すべてのアナタを愛しています。


 それだけが、変わらない真実です。
 記憶のないアナタが再び私を愛してくれたように。

それが たったひとつの。


 たとえ わたし が 死んだ と しても。
 たとえ すべて が 無 に かえった と しても。

残酷ピエロ を 一息 に。





「魅上 照 ですね」



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