ピエロを操るのは、死神の手か、神の手か。
 それとも、自分の手なのか。

 いつになっても答えは見つからないけれど、
 最後に選ぶのは、いつだって自分の手なのだ。


【残酷ピエロを幾度も殺し】


 生けるものの住むところではないと、リュークが関わった人間二人は言うだろうか?
 それとも、これほど遣り甲斐のある、不毛な土地は初めてだ、と不敵に笑うのだろうか?
 きっと恐らく、あの二人ならば後者であるとリュークは思って、大きく裂けた唇の端をニヤリと吊り上げた。
 死神が気侭に奪うだけの卑小な人間に、どうも少し感化されたようだ。
 退屈で、退屈で仕方なかったこの死神界で、やりたい事を見つけた。
 その大半を―、やり終えた。
 どうやら、この身は二度による奇跡の所業で死神界の理から外れてしまったらしく、誰にも認識されないその身を生かして、最後の一冊以外を燃やし尽くした。
 最後の一冊はリュークのノート。
(死神界の最期がどうなるかを見届ける事が出来ないのは残念だ…)
 神と名のあるものとして、奇跡の一つになってみるのも、一興だとリュークは思った。

 運命の日。
 リュークはそこに一つの名前を書く。

 体は全て、砂になり、最後のノートは燃え尽きた。

 ノートを失った死神も、これで飽くなき生を疎むことは無いだろう。


 最後の日まで、必死に生きてみればいい。



 残された時間に、幸、あれ。



END



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