STAGE:1
【僕とボディーガード】#10


 誰の、責任だ。
 何が、価値だ。
 本当に守るべき価値のあるものは、何。


「待ってくれッ!!」
 バタン!と扉の外で待機しているボディーガードの手を振り切って、勢いよく飛び込んだ。
「月?!」
「夜神くん…?」
 そこには、解雇用の書類にサインをしようとしているLの姿と父の姿があった。その二人の視線が向けられて、月は眉間にぐっと力を込めてもう一度決意を固めてから、下げてしまった面をゆっくり上げた。
「Lを解雇しないでくれ、父さん…!」
「…だが、」
「僕が悪いんだ」
 絞るようにして告げると、父が『どういうことだ?』と云うように戸惑いながら月を見返して来た。
「…皆さん、ごめんなさい。僕は…、僕がLを試そうとしなければ、きっとこんなことになりはしなかった…」
 部屋に静寂が落ちる。
 幾つもの視線が刺さった中で月はゆっくりと言葉を継いだ。
「あの日、僕が皆に頼んで僕を誘拐してくれって頼んだんだ。僕にはどうしてもLが優秀な人材に見えなかったし、他にも理由はあるけど、Lの実力を試すために、演出してくれって、頼んだ。それに、注意がそれていたのに偶然、粧裕の誘拐が絡んだ形になったんだけどー…、僕があんな事さえ頼まなければ、きっと粧裕が誘拐されるような事はなかった」
「…月、お前が言っている意味はどういう意味か分かっているのか?」
 厳しく月を見つめる父に、月は『分かってる』と静かに頷いた。
「Lを庇おうっていう嘘なんかじゃないよ。元凶は僕なのに、真っ先に異変に気付いたLを解雇するなんて、おかしいと思っただけだ。…それで皆に恨まれたとしても、仕方ないと思っただけ…」
 最後は苦笑気味に笑って吐き出して、厳しい表情で座っている父を見下ろした。その真向かいに座っているLにもちらりと目線をやったが、やはりLの表情は変わらないままだ。
「竜崎」
「はい」
「もう少し、待ってくれる、だろうか」
 父の言葉に、「私はいつでも」とLが答えた。
 それに頷いて父が立ち上がる。
「ボディーガードを全員集めてくれ。…それから、月」
「分かってる。全部終わったら父さんの部屋に行くよ」
 父とボディーガードがいなくなった部屋で二人きり、月はLに視線を合わせた。


to be continued★


………………………
・あとがき・
次回で第1ステージが月L色がまったくないまま終わりますー!(わお!)

2007.06.24 update


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