「ええ?!私と夜神くんが付き合ってると言ったんですって?!」
「…うん」


【ひぐらしの鳴く朝】


「…私を防波堤として使いましたね…」
「何で僕がお前を好きだとは思わないんだ」
「…きっちり説明しましょうか?」
「いや、いい。…でも、えるにだって都合がいいだろ?」
「…私に好いた人がいるとは思わなかったんですか?」
「説明しようか?」
「…いえ、結構です」
お互い顔を見合わせて、そっぽを向いた。
考える事は大抵同じだ。
「折角、貴方に合わせて名字で呼ぶのに慣れたんですよ」
「まあ、僕もだ」


「…え?入部試験って…」
部長がこっそりと告げるのに、月は思わず声を上げた。
「入部するのに試験は必要ないでしょう」
「でもまあ…なあ?建て前としては何も知らない素人はこの時期邪魔なんだとよ」
「…そんな」
確かに建て前として、通らない事も無い。えるが以前通っていた中学も、この中学も体育でテニスの授業をした事がなかったから、尚更。
ラケットに球を当て、相手のコートにどう返すかだけだが、この中学、部活面にも非常に力を入れていて、春から一貫した指導の元、今日まで来たのだ。
えるは運動神経がいいから何とかなると思っていたが、入部テストだなんて、昨日の腹いせに過ぎないだろう。
「…いつ、テストを?」
「三日後だってよ」
一応同じコートで練習し、時には合同で何かをする事はあるが、基本的に女子は女子、男子は男子だ。月がこの件に口を挟むワケにはいかない。
(三日か…)
お飾りのような時間だ。
(…別に、ここじゃ無いといけない理由は無い…が。)
負けず嫌いのえるの事、勝負から逃げるなんて事はするまい。
しかし、独学で一人で学ぶには圧倒的に時間が足らな過ぎる。
「…あの、部長…」
月は思い切って口を開いた。


続く!


…………………

毎回適当でございますが、とっても楽しい水野です!
因みにえるは月と付き合ってると言った今、どこに行っても同じような目にあいます…ってどれだけ月がもてているんだという話ですよね(笑)
月も徐々にえるファンから嫉妬の炎をぶつけられると良いですね☆(☆…って…)
dataup20060919


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