弱みを見せれば付け込まれるだけだと分かっていて、 どうして回避できなかったのだろう。 【ひぐらしの鳴く前に】 『そうか』と告げた後の魅上の抱擁は、存外優しいものだった。 だがそれは、えるが「すみません」と拒んで逃げるまでのほんの数十秒だけで、その後すぐに冷たい床に押し倒されて、力ずくで組み敷かれた。 その間のえるの制止の声も行動も魅上は無視し続け…。 「っぁ、んんっ!」 そして、現在に至る。 望んでの事ではなくとも、具体的な快感はえるを容赦なく突き上げる。 (犯されて、声を上げるなんてどうかしてる…) どうしてこんなにあられもない声をあげているのだろう。 「ぁっ…ぁっ…やっ」 魅上の事は嫌いではない。好きか嫌いかと問われれば、好きな方だと思うが、けしてこんな関係になりたかったわけではない。 だが体はすっかり順応に魅上を受けいれ、たっぷりの愛液で包みこんでしまっていて、時折「竜崎」と呼ぶ掠れた声に背筋を反らせた。 「っは…、ぁ、ん…」 ゾクゾクと駆け抜ける快感に唇を震わせる。 一年違えば、体格も随分と異なるのだな、とえるは朦朧とた思考でそんな事を思った。 月は成長は早い方だが全てが少年といった感じで、対して魅上は既に青年の色を隠し持っているようだと感じた。 獣のような体勢でえるの体に触れるその指がやけに節っぽい。 「アアッ!」 思いっきり打ちつけられて一際高い嬌声が喉を吐く。 思わず達してしまいビクビクと痙攣するその内側で、魅上が達してた事に遅蒔きながら気付く。 「…ゥ……どう、して…そのまま…」 「…成る程」 「……」 魅上はあまり人の話を聞かない。 常に自分の中だけで問答して勝手に結論を出す。 今回もその例に漏れず、魅上がナカに出したことを非難する言葉も耳に届いてないらしく、うんざりしているえるに訥々と話だした。 「夜神の気持ちが理解出来た気がする。確かに行ってみないと分からない事があるのは認めよう」 「………」 「確かにお前を抱くのは気持ちがいい。性格には多少問題はあるが、頭脳は申し分ない。試してみる為や、虫除け程度に側に置くには勿体無いと私は思う」 嫌な予感がして力の入らない腕に力を入れて起き上がろうとしたのは、魅上に簡単に阻まれた。 「私の夢はこの国を変える事だ。夜神は警官である父親の後に習い警察のトップを取るつもりだろう。高田は報道関係のトップを目指すつもりのようだ。…どれも私の描く未来に必要な駒だ」 魅上にとっては高貴なる理想も、えるの体内に自身を埋めたままに恍惚な表情で告げられれば、恐ろしいだけだ。 「お前は優秀だが未来はなかった。まあ平凡な人生を歩むつもりもなかっただろうが、お前にとって最適な未来を私は見つけた」 ぐっと体重をかけられる。えるの中で再び熱をもってくるのが気持ち悪かった。 「私の妻になるのが相応しい。外交を行うのには妻の資質も大きい所だからな」 「ちょっ…何言って…!そんな、勝手に…!」 露出した背中に魅上の視線が刺さる。 「それにどうやら…」 魅上の息がうつ伏せた耳元にかかった。 「私はお前を愛してしまったようだ」 「!」 ………………… ■あとがき ……ごめんなさいっ!!!ヒィ!!! な出来上がりで申し訳ありません…。うわん! しかし、今回はすごく悩みました。うん。 え?どの程度あれな具合にするかで…完璧に隠さなきゃならなくなりますしね…、うん。 一応抑えてかいてみたものの…反応が怖いです…!ヒー! 笑って許してください…! では!! dataup2007.01.17 next→ …………………… [0]TOP-Mobile- |