最近なんだか可笑しいとは思っていたんだ。
 頭痛は酷く激しいし、時折眩暈もやって来る。
 そして、吐き気までやって来やがった。
 最初は練習のやりすぎか〜?とか思ったり、食中毒だったりして?まさか、俺の鉄の要砦である胃が食中毒なんかでやられるはずねえじゃん、と結構かなり、根拠の無い自信を抱いていたりした。
 そんな俺の様子を一番傍で見ていた沢松に病院に行け、と命令された。
「え〜?大丈夫だろ。こんなん。その内治るんじゃねーの?」
「その内ってお前、頭痛がやってくる感覚狭まってるんじゃねーか・・・。そういうのはいつかは治るって感じじゃねえ、悪いこと言わんから、病院に行けよ」
「びょーいん〜〜?面倒臭えなあ」
 不埒なことを言う俺に沢松は暗雲を背負うとにっこり笑って俺を脅した。
「あ〜?んな事言っていいのか〜?とっとと病院行かねーと、凪さんにこれまでのお前の恥ずかしい写真を見せつけてやる!!」
「い〜〜〜や〜〜〜〜!それだけはヤメテ!沢松様っ!!行く!病院行きます!!病院!!明日っ!明日行くから〜〜〜!」
「ふ・・・最初から素直にそう言やいいんだよ」
 さすが、鬼ダチ、俺の弱点をよく知っていらっしゃる。かくして俺は沢松の助言通り、病院に赴く羽目になった。
 そして、それを俺は今とても感謝している。

 俺は翌日、学校に遅れていくと言って、病院に行くと医師は検査をした後、難しい顔をした。
「精密検査をお薦めします。ご両親は?」
「あー。両親っすか、父はロンドン、母はアメリカってな感じで、俺ん家の流儀は自分のことは自分でって感じっすから・・・連絡しても、多分来ないと思いますよ?っていうか、俺そんなに大変な感じなんすか?」
「・・・・精密検査の結果が出なければどうとも言えませんが、かなり病状は進行していると思います。本当にご両親はいらっしゃられないのですか・・・?」
「あー、はい」
「一応未成年ですから、ご連絡を取りたいのですが」


 そして検査結果が出るという2日後。
「やはり検査結果は、

『神経膠腫、いわゆる悪性の癌です』」

 俺の保護者だとか言って、一緒に付いて来た沢松が声を失った。
「・・・・それは?」
「神経膠腫(グリオーマ)とは、脳に発生する悪性腫瘍の事です。脳腫瘍では一番多いのがこれで、猿野さんの検査結果からは腫瘍を構成する細胞の形態から、星細胞腫と断定されました。その悪性度によって大きく4段階(グレード1〜4)に分けられます。最も悪性度の低いグレード1は、小児の小脳に発生する星細胞腫で、この腫瘍だけはあまり周囲の脳に浸潤しないので、手術のみで治癒することが期待できます。グレード2以上は手術だけでは再発することが多く、手術後に放射線療法や抗がん剤による化学療法が行われます。特にグレード4は、脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍のひとつで、膠芽腫と呼ばれています。膠芽腫は、現在なお治療が困難な疾患であり、手術をしても大半が再発する可能性があります」
「・・・・それで俺はどんな状態なんですか?」
「・・・・猿野さんの場合は、グレード4で.最も悪い腫瘍です。そして進行状態は極めて悪い。こういう事は時間をかけて説明した方がいいのだとは私とて思いますが、はっきり言わせてもらいます。すでに手術は出来ない状態です。余命は後僅か・・・。私どもは後2ヶ月も持たないと診断しました」


////To be continiued/////

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