■【裁きの剣】■
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「…大丈夫か」 砂漠は何も砂丘だけを指すものでは無い。遠い昔は沙漠と言ったのだとLが言っていたのを思い出した。 荒い岩壁を乗り越え荒廃した土地を長く堅く白い大地を、ニアを引っ張り上げた後、メロは目を眇めて眺める。 「…ええ、大丈夫です。有難う、メロ」 遥か、遥か遠くを痛ましそうに眺めるメロの隣にニアは立つ。 同じく荒廃の続く土地を眺ると、胸の内に僅かな寂寥を感じた。 置いて来た祖国を思い出す。 かの国はー… 【裁きの剣】 「…もーいーだろ」 しかめっ面でジロっと睨めつけるメロに、ここらが潮時かと、「すみません」と小さく苦笑して、ニアは暖かい手を離した。 胸に積もる痛みに似た感情に、ニアはメロの手をそっと取って立ち尽くしていたのであった。 その手はとても暖かく、生きている、という事をニアに思い出させてくれる。 (…優しいんですから) Lの手も、ニアと同様にひんやりと冷たい。 メロがその熱を分かち合いたいと思っているのはLなんだと知っていて、それでもニアが心底揺らいだ時には拒否をしないでくれるものだから、期待をする心を止められない。 けれどニアは時折、どうして私ではダメなのかと問い詰めたくなる事がある。 『私じゃ駄目ですか、メロ』 そんな風に語りかけた事は幾度となくあっても、結局問い詰めた事はない。 知っている答えをワザワザ引きだして、お互いが傷つつくなどバカらしいから。 「…なんとか最低ラインを割らずに済みましたね」 「ハル達が有能なお陰だな。それにLの助言があったんだ、当たり前」 確固とした信頼の言葉にニアは眉間に僅か皺を寄せた。 「…けど、Lの助言があったにせよ、いくら有能な臣下や人材がいても施政者が悪けりゃ国は立ち行かなくなるー…」 苦虫を噛み潰したようなメロの言いように、賛同するところはあるとはいえ、嫉妬が胸を渦巻きニアは意地悪く口を開いた。 「それでもなんとか乗りきれたんです。夜神月が狙うこの国を守り通さねばなりませんね、二人で」 「……」 「Lは私達の敵です。夜神月も相当切れます。頑張らなければ、裏をかけません。頑張りましょう、メロ」 ニアの言い方に、メロが若干傷ついた表情を見せたが、すぐに怒ったようにニアを睨みつけた。 それをニアは正面から受け取ってじっと静かに見つめ返す。 「そんなの、…だろ」 「そうですね。…でも」 そこで言葉を止めると、メロが更に顔を歪めた。 (本当に私は意地悪だ) こんな風にするから嫌われるのだと思っても、言わないでおられないのだから、困り果てる。 「まぁ、とにかく、今は頑張らねば。Lの為にも」 ギリ、と奥歯を噛み締め先に歩き出したメロの後ろ姿を、 ニアは朝日の国と一緒に眺め、それから歩き出した。 To be continiued …あとがき… えーと『沙漠』については元々こっちの表記だったのですが、『沙』の字が常用外かなんかになって砂漠になったそうです。(多分) ということを、こないだ知りました(笑) なんか本とか読んでたり、TVを見てて、ぼんやりと砂丘以外も映っているな〜とは思っていたのですが、元々は水の少ない土地という感じだそうで(『沙』)。 因みにサハラ砂漠のサハラって砂漠っていう意味らしいというのも見て、面白いな〜と思いました。 といっても、うろ覚えなんで、あんまり本気にしないほうがいいかも(笑)(ってゆーか、常識だったらすみません〜(笑)) data up 2007.07.04 ≪back SerialNovel new≫ TOP |