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外はしとしと雨が降っていた。 大学のキャンパス内、共同ホールで月は静かに外を眺める。 講義と講義の間までに一つ時間が開いていた。 ディスペンサーからコーヒーを取り出し、少しぬるくなったカップを持ち上げ啜り、 もう一度憂鬱そうな灰色の雲の下、アスファルトを濡らす雨の粒を見やり、軽く腰を浮かした。 「…何やってるんだ、アイツは…」 オカシイ奴だとは思っていたが、何故にこの雨の中傘もささずに突っ立っているのか。 月は軽く浮かせた体をどうするか数秒程悩み、そのまま立ち上がった。 紙コップの中身を捨ててからゴミ箱に捨て、ガラス戸を開き外に出た。 「流河ー…」 朝、母親に薦められて持って来た傘を開き、流河の元に歩きだす。 どうやら、雨音に遮られて声は聞こえていないらしかった。 「…流河。」 「夜神くん。こんにちわ」 「…何やってるんだ」 言いつつ、傘を半分差し向けた。Ｌは挨拶を返さず不機嫌そうな月に向けて小首を傾げた。 「雨を見ていました。…ああ、夜神くん、傘はいいです。濡れてしまいますよ」 雨を吸って重くなった髪の房から雫がぱたぱたと落ちるのも構わず、月が向ける傘の柄を小さく押し戻す。 「お前に言われたく無いよ。ずぶ濡れじゃ無いか」 「はい。ですから、今更と言うわけです。」 「…確かにそうかもしれないが、目の前にずぶ濡れの人がいて、僕は傘を持っている…にも関わらず、お前は僕にこのままにしておけと言うのか？」 平坦な声で語ると、Ｌは上方を少し見上げながら考え、「そうですね、すみません」と零した。 「…お抱えの運転手はどうした。傘は持たせ無かったのか？」 ちらりと手ぶらなＬの手元を見て言うと、彼は小さく微笑んだ。 「はい。正面玄関まで乗りつけましたので傘は必要ありませんでしたから」 「ああ、そう」 常識的に、学生が玄関までリムジンで乗りつけたりしないが、Ｌに常識は通じ無い。 「それで、どうしてこの雨の中突っ立ってたんだ？雨ならひさしのある所でも見れるだろう」 「…何か私怒らせるような事、しましたか？不機嫌そうですが」 瞬き数回、じっと真正面から不躾な程真っ直ぐに見つめる真っ直ぐな視線に、月は目を眇めて見返す。 「…別に」 脳裏で少し考えた、不機嫌な理由。 「…お前が雨の中で立ち話させるからさ」 既にズボンの裾はじっとりと雨を吸っている。 「…はあ」 真実を見極めるようにいつも見守る視線から、不自然で無いように目を逸らした。 「…ほら、行くぞ流河。コーヒーくらいおごってやるから」 どうせ、財布など持って無いのだろう、と言うと、Ｌはとぼけた口調ではあ…ありがとうございます。と答えた。 「でも、その前に、これで入れると思えませんが」 びろ…とＬは水滴の垂れる服の裾を奇妙な手つきで引っ張った。 「…それぐらいどうにかするさ。」 言って、ひさしのある方に歩き出す。 Ｌによってかき乱された自分の、それからヤツのテリトリーにいたく無いだなんて、認めない。 ゲームは始まったばかりだ。 おわり …………………… …懺悔… ん？ ？？？ よく分からないまま終わりました。 あ、あれ？ …最近はキラ月×Ｌもイケルので、もう少しそういう感じになるかなー…と思ったんですが。 全然ダメでした！えへ！ とりあえず精進します！ 水野やおき 2005.04.16 ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |