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言って月の腕から抜け出し、立ち上がろうとするＬの体をがしりと止める。 不思議そうな顔で見つめる、いつもと変わらない平然とした顔を恨めし気にみつめ返す。 「…熱がある…」 「…は？」 「…『は？』じゃ無い。熱があるぞ、竜崎…」 「…私が、ですか？」 「お前以外にこの状況で誰がいる」 「まあ、そうですよね。…熱、ですか…それで三半規管が通常に働かないワケです」 「…」 「思考が色んな所に飛びますし…そうですか、熱ですか…。ただの疲れと違ったのですね」 「…」 「…おや、月くん震えてますよ？大丈夫ですか？」 「大丈夫じゃ無い！！まあ僕じゃなくて竜崎だけどねっ！」 「…耳に響きます…」 「自業自得と思え。ほら、行くぞ」 「…は、っ？！」 ぐっと抱え上げられて、Ｌの目が見開かれるのが分かった。 「や、夜神くん、下ろして下さい。自分で歩けます」 肩を持って勝手に降りようとするＬの体を自分の方に寄せてそれを阻止する。 「どうだか。もし怪我なんてされた日には父さん達に何を言われるものか分かったもんじゃない。…危ないから動くな」 もごもごと抵抗の兆しをみせるＬを軽くいなしてから、移って来た模木に様子を伝えて有無を言わせず休息用に与えられた部屋に移る。 「竜崎、お前身長の割には体重無いんじゃないか？」 「…月くんに言われる筋合いは無いです。貴方の体重もかなりあり得ませんよ」 「そうかな…。ほら、ついたぞ」 鎖の制限がある為、ゆったりした部屋に不似合いな程にくっつけられたベッドに、Ｌの体を下ろす。 「…どうも有難うございます…」 ほとっと猫のように丸く横になったＬの体に、上布団をかける。 「いや、別に。竜崎は早く治す事だけを考えればいい。何か欲しいものは？」 「…苺のケーキが食べたいです」 「…およそ病人の食べるものじゃ無いな。…お粥も食べるなら一切れだけ夕方デザートにつけてやるよ」 腕を組んで、「ん？」と見下ろす月に、Ｌはもぞもぞと身じろぎして眉間に皺を入れた。 「病人の時くらいまともなものを食べるんだな。そもそも竜崎は睡眠時間だけじゃ無い。食生活自体がおかしいんだ…これで病気にならない方がおかしい。今日がいいきっかけだ。これからはワタリのようにはいかないぞ。僕がずっと見ててやる。少しずつでも治して行かないと長生きできないぞ」 「…」 「…と、悪いな。もう寝ていいぞ。…竜崎？」 嫌そうな顔で月を見ていたＬが、すっぽり表情の抜けた顔でみつめていて、月は首を傾げた。 しばし沈黙が落ちる。 「…」 寝るのかと思えば、一向に目さえ瞑る様子さえ無いので違うのだろうと判断して、Ｌが口を開くまでそこに立つ。 「…目眩がして来ました」 「え？！そういう事は早く言えよ。全くお前は……。だったら早く目を瞑ってー……」 「目眩がします」 「…え？だから…」 「目眩がします」 「……」 「吐き気がする」 「……」 「私はお前が嫌いだ。夜神月」 「……」 「幼稚な正義感。明晰な頭脳。温和を装った笑顔。選ぶ言葉も、行動も。昔も、今も。総てが」 「……」 「総てが」 「…竜崎…」 淡々と語られる呻きに近い呪いのような言葉に月は腰を落とす。 「…何度も言うが、僕はキラじゃ無い」 「…いいえ」 「…じゃあ言い直すよ。少なくとも今はキラじゃ無い。」 「そうですね。素直に認めていいのですか？」 「ああ。今日の所は仕方ないさ、それも。」 「…」 「竜崎」 「なんですか」 「僕はお前を殺さないよ。」 「…いいえ」 「殺したりしない。…もし僕がキラになったとして、お前が一番の強敵になったとして」 「…」 「どうして僕がお前を殺したり出来る。熱に浮かされている時にしか、しかも遠回しにしか愛の告白を出来ないお前を」 瞠目したＬの表情に月は小さく笑う。 「さっきのはどうしてもそうとしか取れなかったぞ。お前の性格は分かってるつもりだが、あんな告白の仕方があるとは思わなかった」 「…アナタは馬鹿ですか？」 「そうだね。そう言われるのは好きじゃ無いけど。竜崎にそう言われるのは嫌じゃ無いと思うくらいには馬鹿になったもんだよ」 「…呆れはてました」 「そう。呆れ果てて口も聞けない間に寝てしまうといい。それとも、添い寝しないと眠れないとか？」 「…どうかしてますよ。月くんも風邪ですか？それともキラに戻りましたか。やり口が似てますよ」 「ははっ。とりあえずお前が僕がキラであったとしても僕の事を好いてくれてるという事は分かった」 「アナタこそ医者にかかった方が良さそうですね。…何してるんですか…」 「…え？添い寝が必要そうだったから」 「…馬鹿につける薬は無いと言います。医者にかかったとしても匙を投げ出しますね」 「…そう言いながら追い出さないね。竜崎」 言うと、Ｌの顔に少し赤みが差した。すぐに冷静な顔になる。 「…とりあえず、寒いので仕方なしにです…」 「そう。じゃあアイスノン貼ったら一緒に寝ようか。僕も少し疲れがたまってる」 「…とんだロスです。…感染らないで下さいよ。」 「了解」 おわり …………………… …懺悔… 長いわりに微妙。 オチが読める話。 しかも途中から性格変わってる。 …と三段以上重ね、『熱』をお送りいたしました。 長かったよー…途中ＭＬ祭りに夢中だったから(今もですが)間を挟んで長かった。 因みに『熱』って個人的にエロく聞こえるんですよね。 だけど、別にエロの話じゃなかった。うん。 『熱』のせいで饒舌になっり、うっかり愛の告白をした挙げ句、甘えるＬの略です。題名は(略し過ぎだよ) 続く≫ ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |