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『知れば彼を殺す。僕はそうする。お前は、 竜崎を殺すよ 』 夢ならば覚めて欲しかった。 切実に、一秒でも早く…早く。 声は語る。 僕の中に潜む無情な正義を。 声は誘う。 僕の中に潜む無情な正義を。 声は殺す。 僕の中に確然とした彼への気持ちを。 否定する言葉は持ち合わせていない。 糸の切れた人形のようにその場に座り込み、 ただただ、祈るだけだ。 この声に打ち勝つ事を。 いつか。 いつの日にか。 彼の気持ちを預かれる。唯一の場所にならん事を。 もし、それが一度血に塗られたものであっても。 涙は流れる。 体を支える術はなくなる。 これ以上高慢で傲慢な己の声を聞きたく無かった。 ただ、彼の声が聞きたかった。 そして耳を澄ませる。 僕を呼ぶ彼の声を。 「しっかりしなさい！夜神月っ！！」 目の前に彼の顔があった。 思いだしたように指先が震えた。 「…大丈夫ですか。うなされていましたよ」 彼の掴んだ肩がじわりと痛みを訴えた。 「…ああ」 「…怖い夢でも見ましたか。灯りはつけた方が宜しいでしょうか？」 室内は眠りに陥ちてからさほど時間が経っていないのか真っ暗で。 しかし慣れると相手の表情くらいは読みだせる漠然とした光を感じた。 「強い光は、安心を与えてくれるとは限りませんから。眠っていたのなら、目は慣れている筈ですし、私もいますし。…でもそろそろつけた方がよいですか…、…」 尋ねる割には離れる動作の一つもしない竜崎の肩に頭を預けた。 「…いい。そんな光なんて無くていいさ。」 呟き背中に手を回した。 薄い、体がそこにある。 「キラである事を思いだしたのか…とかって聞かないのか？」 小さく問うと「聞いて欲しいのですか」と静かな返答が返って来た。 「…いいや。」 続く≫ ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |