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愛してる。 愛してる。 何遍繰り返しても、伝えきれないこの想い。 【愛してる】 …闇に慣れた目を開き、むくりと躯を起こす。 遮光カーテンをひいてなかったので、淡く月の光が窓から忍び寄っている。 上半身を滑り落ちたシーツに目を遣り、隣に眠る彼のー…Ｌ、と呼ばれていた彼の(今でも己にとってのＬは彼一人だ)…ー肩がはみ出ていないかを確認する。 その寝顔は穏やかで、彼を一番感じさせる黒い瞳が閉じているだけで少し幼く見え、メロは小さく微笑んだ。 きっとロッド達が今のメロの表情を見たとしたなら、とてつもなく驚くだろうと思う。 そう考え、彼はやはり小さく笑いながら、サバンナに野生するしなやかな肉食獣のように躯を丸め、穏やかに眠る彼の黒髪を指で梳いた。 Ｌは一向に起きる様子を見せない。 疲れているのだろう。 昨日はＬの意識が途切れる迄ずっと抱いていたのだから。 ………… 「メロ。上機嫌ですね」 カタン、と音を立てて、メロが秘密の隠れ家に寄ると、世界で最高峰の頭脳を保つＬが椅子の上に足を乗っける、いわゆる体育座りのような姿勢でメロを出迎えた。 「あぁ、ちょっとな」 ニアを出し抜けて上機嫌。Ｌには極力自分以外のヤツを思い浮かべて欲しく無い、という可愛らしい男心の為にメロは言葉を濁す。 まあ、死のノートの事は後で言ってやればいい。そう思い、メロは上着とサングラスを取り払うと椅子に座るＬの唇に軽く音を立ててキスする。 「…ね、Ｌ。」 「ヤですよ」 きぱっと断られてメロには立つ瀬が無い。 「…んでだよ」 あからさまに眉を寄せて、ふてくされています、と表すとＬは半眼のままメロの目を覗き込んできた。 その深淵を思わせる深い瞳の色。強い意思。v (…ーぞくぞくするんだって) 睨み付ける視線一つで欲情する。 この世で一番頭がいい癖に、捜査の為ならば視線一つの意味さえも計算し尽くされているのに、こういう時のＬの対応は酷く無頓着で無関心だ。 「…なんでも何もありませんよ。こんなに明るい内から…」 「いいじゃん。常識なんて糞くらえだろ？」 「…常識とは一般的に考え出される合否の結果であって。…たまには私だってそれに当てはまる事ありますよ。…つまり、常識がどうこうでは無く、私が嫌なんです」 「…明るいのが？」 「明るいのが。…まあ他にも理由はありますが」 「他にもぉ？何だよ」 「シた後ツライのは私ですから」 ぴしゃりと拒否を表すＬに、メロはアハハ、と笑う。 「だーいじょうぶさ。Ｌ結構頑丈だし」 「…それはメロがいうセリフでは無いでしょうが…」 呆れたような声を出すＬに、メロは子供らしい顔を捨てて真顔でＬを見つめる。 「可愛い恋人の頼みだろ？」 「………とんでもない恋人もいたものですね」 「普通だろ？」 Ｌの溜め息に薄く唇に笑みを刷いた。そしてそのままＬ前髪を上げて、額に静かに口付ける。それは彼を腕に収める為の神聖な儀式のようで、メロは何の欲得も無い想いで彼に触れた。 彼が、彼として生きて、出会ってくれた、それだけに感謝して。 「…………何か騙されてる気分です」 ゆっくりと唇を離してＬを覗き込むと、半眼なままだがその目許はうっすらと赤い。 「じゃ、そのまま騙されててよ」 さらりと彼の頬と耳を隠す髪を書き上げて「な？」と呟く。そのまま耳を軽くかぷりとやった。 ピクリとＬの肩が上がる。 「…大きくなったんですね…」 「ああ、まだ成長期だし、いつかＬの背も追い越すよ」 言ってからメロが小さく笑うのに、Ｌがくすぐったそうに頭を揺らした。 「俺昔からこればっかり言ってる気ぃする」 それにＬも笑った。 ………………… 「…メロ？」 思い返していたら、名前を呼ばれた。 「思い出し笑いですか、…私、そんなむっつりに育てた覚えはありませんが」 「思春期の時にいなかったんだからしょーがない…し、生まれた時からこんなんだったから」 「生まれた時、からですか…」 呆れたような声にメロが声を立てて笑う。 「そう！Ｌと一緒になる為にね！」 「Σぅわ」 がばりとＬの上に飛び乗って来るメロに潰されてＬは「…メ～ロ～…」と呻く。 「あはは。Ｌ愛してるよ」 ゆっくりと吐かれる言葉に、Ｌの視点はしばらく彷徨った後、こう答えた。 「先程、めいっぱい聞かされましたよ」 それにメロはあはっと笑ってＬを抱きしめた。 「確かにそーだ。」 シンと沈黙が降りる。 「Ｌ、もう少し寝よう。」 「そうですね」 囁く声に同じく囁きが返って来た。 「Ｌ、あたっかい」 「私もです」 「愛してるよ」 「愛してますよ」 続く≫ ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |