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ガツン！ 「あ」 コロコロとボールが転がる。 しまった、籠をひっくり返してしまった。 「ばーか」 コロコロと転がるボールを所在なさげに見つめるニアの頭上からおかしそうな声が降りかかって来て、ゆっくりと顔をあげる。 「メロ」 金の髪が太陽の光にふわりと溶ける。 「また転がしてんのか」 風に促された笑顔がまた綺麗で、ニアはしばし見とれてしまう。 「しゃーねーな、手伝ってやるよ、お前に任せてたら夜になっちまうからな」 メロは私の事を嫌っている風なのに、こういう時のメロは、優しい。 否、元々こまめな性格なのだ。他者の事にも自然に手を差し伸べるし。 「よ、いしょ」 「Σメロ？！」 ぽんっと二階の窓からメロが飛び出して、心臓が止まりそうになる。 しかし彼はそんな事など気にも止めず、桟に手をかけ勢いを削り、軽やかに着地した。 「何？」 いつもの事ながら、メロには驚かされてばっかりだ。メロは運動神経がとても良いのだから、心配する事など無いと思うのだが、一瞬ひやっとするのは故意に止められるものでは無い。 「…いえ、何でも…。…うわばき…」 「あー？土払ぇば大丈夫だろー？細かい事ゆーなよ」 言って、メロがポンとボールを蹴り上げて、籠に入れる。 「ナイシュ！」 楽しそうにメロは足のつま先でボールを蹴り上げると、まるで手品師のように、空で操り、籠の中に入れてしまう。 「ほら、何ぼーっとしてんだ。お前も手伝えよ…(っていうか俺はこのぼんやりにいつも負けてんのか…)またひっくり返すなよ」 ぼうっとメロを見つめていたニアに、少し不機嫌そうにメロが促して、ニアは小さく頷いた。 ゆっくりボールを拾う。 (きっと成績の事を考えているんでしょうね…。こういう表情の時のメロはいつもテストの事ばかりで…。…感情的になりすぎなのだ、メロは) そしていつも大切な事を見失う。 (…まあ、そういう所もメロ…ですからね) 小さく苦笑して、ポスンとボールを籠に戻した。 大事な事が見えていないメロを愚かだと思う癖に、そういうメロに惹かれるのだから始末に終えない。 (Ｌの椅子に最も近いのは私ー…だと言われているけど、それはどうだろうか。…Ｌはメロを選ぶのでは無いかと…そう思う事が多々ある…) 『Ｌの資格』と、周りの大人達は言うけれど、Ｌ自身がそれを語った事は無い。 『Ｌ』は、一切人に関わらずに事件をこなす世界の切り札と言うけれど、そんなモノは状況によって変わるのだ。 オールマイティであるに越したことなど無いだろう。 だとしたら、ＬはメロをＬに仕立てあげるのでは無いか。 そして、仲介役に私を添える。 普通に考えれば、私とメロの役は反対だろうけれど、時々私はそう思う事がある。 (…ともかくＬの考えている事は皆目分からないのだけれど) 「よっしゃ、終わり。さっさとかたして、昼飯食おうぜー。昼はお前の奢りな」 「…は？」 「片付けてやっただろー？明日のお前のメシが貧相になっても俺は気にしない」 「……初めからお礼をせびろうと言う魂胆だったんですね？」 ジロリとメロを見ると、彼はニヤリと人の悪い顔で「勿論」と答える。 メロが押すサッカーボールの入った籠が、用具室に辿り着いた。 専用の鍵を差し込んで扉を開く。 (Ｌの考えている事は皆目見当もつかないのだけれど…。) 私は。 愚かな所も含めて、メロという人物に、惹かれる。 総ての可能性を持っているアナタという人…は、私を嫌っている癖に、優しい手を伸ばす。 「ほら、行くぞ！」 パンパンと手を叩いて、メロはニアに手を差し伸べる。 (…本当に、もう。アナタという人は…) ニアは微かに唇を上げて、無意識に差し伸べられる手を取って、 ぐいっと引いた。 「Σ！？」 ぐらっと体制を崩したメロの体を抱き止めて、ワケが分からず目を白黒させているメロの唇にふっと触れる。 「なっ！！なななな！？」 「…お礼の気持ちです」 しれっと呟いたニアがさっさと屋外に出ると、メロはその場でプルプル震えてから、 「ニアああああっ！！」 大声で叫ぶので、ニアは声に出して笑ってしまった。 おわり …………………… …懺悔… なんか、前々に書いたのと被っているような…いないような…。 水野の頭には脳でなく豆腐のようなものが入っているので、あまり記憶できません。すみません。(笑っ…てる場合じゃ無いです) メロに激しく夢を見すぎちゃってる感がヒシヒシと出てしまっていますが、…好きなんだよ、メロが。優しく見逃してよっ！ イギリス生まれ(？)のメロたんにはやはりサッカーボールが一番かと。球っつぅ球が似合うとも思うって怪しい意味じゃ…！(笑) サッカーはイギリスで生まれたスポーツらしい…ですね？ 水野やおき 2005.08.27 ≪new[3] NOVEL back≫ [0]TOP。 |