七転八倒堂

※普英で英がほあた☆で女体化（外見はにょたりあ）しています。
※微妙にぬるいＲ－１８っぽいものが混ざってます。



「よお！カッコイイ俺様が来てやったぜー！」
万年曇り空といっても過言ではないロンドンの郊外にあるイギリスの私邸を訪ねてプロイセンはケセセと笑った。
「いや、呼んでねぇし。なんだ、どした？つーかアポイトメントは取れよ」
いつも通り堅苦しいヤツだなーと思いながら眉毛…もといイギリスは体をずらしてプロイセンに道を譲った。
「元々こっちくる用はなかったからなー。何だよ、用事でもあんのかよ」
「いや、特にねぇけど」
「じゃあいいだろ。あ、因みに紅茶以外は何もいらねぇ」
「うるせえな！！」
一回ぶっ倒れた経験からそう告げると顔を赤くして怒鳴られる。短気な奴だなーと思うが、顔が赤いのでアホだなーとも思う。
他人の家だというのにのびのびとソファで寛いでいると紅茶を淹れたイギリスがやって来た。
ティーカップが目の前に置かれて口づける。仄かな甘味に『おや？』と思って視線をあげると、
「こ、これは客の好みも把握してねぇとか思われたくない俺の為であってお前の為じゃないんだからな！」
実にテンプレの台詞が返ってきた。
最初どもった癖に後はノンブレスか。
いつもの事にとりあえず「おー」と答えておく。反論しなければ実害はない。
「つーと、俺様の為にメイプルを常備…」
「んなわけねぇだろ。カナダが時々送って来んだよ」
一刀両断されて可愛くねぇ、と思うものの、カナダの名前にふと緩める顔は嫌いじゃない。
「イギリス」
「何だ？」
「しようぜ！」
「…朝っぱらから何言ってんだよ…。つーか、他に言いよう無いのかよ」
「やることは一緒だろ！」
「…お前、不憫だよな…」
「不憫じゃねえよ！つーかお前だって同じようなもんだろーが！」
思いっきり同情の目で見られて言い返す。
「同じじゃねえだろ」
「お前最初俺になんつったか覚えてねーのかよ！」
「ありゃ酒が入っての席でだろーが」
「けど『しねえ？』ってほぼ同じだろ！」
「同じじゃねぇよ。唇食んでやった後だろ。…つか、ま、いーか。で、どっちがいいんだよ」
更に言い募ろうとしたが、イギリスが話を変えてきたのでプロイセンは「そうだな」と一つ頷いた。
「んじゃ、女の方で」
「分かった」
いつの間にか握られた星のついたステッキを軽く振って「ほあた☆」と同時に白煙がイギリスを包む。この辺の事に関しては深く考えないことにしている。
煙が晴れた後はツインテールの眼鏡っ娘がいた。いつものイギリスよりも一回り小さい。
組んでいたスカートからすらりと伸びる足を解くのに「おっ」と思う。中が見えそうで見えないのはお得意の魔法か何かがかかっているのだろうか。
そんな事を考えている間にイギリスが向かい側に座っていたプロイセンの座るソファーに膝を立てた。眼鏡を外してテーブルに置くとするりとプロイセンの頬を撫ぜてニヤっと笑う。
「お前は何にもすんなよ。ちゃんと天国見せてやるから」
いつもよりもふくやかな唇が額に、頬に唇に落ちてきた。

◇◇◇　◇◇◇　◇◇◇

「んっ」
イギリスが腰を少し腰を落として息を詰める。
「ふぁっ…ぁっぁっぁっ」
プロイセンのでっぱりを少し呑みこむと、後はソファとプロイセンの肩に爪を立てながらじりじりぬるぬると受け入れていく。
てらてらと濡れた唇が甘い喘ぎを漏らして耳をくすぐる。包みこまれてゆく処は問答無用で気持ちイイ。
（ヤベーな、おい）
動くな、と言われたがもう動きたい。
「ぅあっ」
ずるずると全てを呑みこんだイギリスがビクリと震えてからペタリとプロイセンの胸にしなだれかかる。
激しく動いたわけでもないのにはぁはぁと忙しない呼吸を繰り返す。
ふよりといい感じの感触がおしつけられる。はふはふと熱気のこもった吐息はくすぐったい。挙句にきゅんきゅんとイギリスのなかが締め付けてくるのでこの状態で動くなとか正直勘弁願いたい。
「いつもと違ぇけど、どーしたよ」
この間だって上に乗られたがもっとヤり慣れた感じで動かれたが。
「バカ。体変わると…感覚も変わんだよ…。こっち、久しぶり、だし」
「そーゆーもんかよ」
途切れ途切れ答えるイギリスを乗っけたままでそういえば、と思いだす。
ノリノリの印象が強いので忘れがちだが、こっちの姿の時いつものようにガッついたら「痛ぇよ！」とちょっと泣かれた事もあった。
「こっちは初めてだっつったろ！バカぁ！」と甘く罵られてトキメイたのは秘密の話だ。
「お前、何か、勘違い、してんだろ…。これってコインの裏表みたいなもんだ。同じ一つのコインではあるけど、裏と表は別の顔だ。同時に出てくるもんじゃねーから、使わなけりゃ使わないままだ。一回ヤったら後は同じとかゆーもんじゃねえ」
「おー」
「もー、お前分かってないだろ。だから通算四回目とかで時間も経ってんだから無茶できねーって言ってんだよ。だから動くなよ？マジ動くなよ」
「通算四回目っつーと、まんま俺とヤった回数じゃねえ？」
「当たり前だろ。どこの世界に男に女になってヤれねぇ？っていうバカがいるんだよ」
お前以外に。
そう言われて『それって特別ってことじゃね？』と思う。
（特別っていいよなぁ）
「プロイセン」
いつもは鋭い光を湛えた翡翠の瞳が、今は濡れてこちらをみつめている。
「ばぁか」
動くななどと非道な事を言っておいて、腰にくる可愛くないセリフを可愛く言うイギリスの、唇を塞いでプロイセンは笑った。

◇◇◇　◇◇◇　◇◇◇

「プロイセン」
「おお、会議終わったのかー。早くね？」
自宅に帰るとＰＣを弄っていた男が顔を上げた。
昨日から泊まりに来ているイギリスの恋人に昇格したプロイセンだ。
その為、今日はアメリカと日本に食事に誘われたが断った。今度埋め合わせをしなくては、と思う。
夕食の準備の為にキッチンへ向かう。殆ど惣菜だが「もう倒れるのは勘弁」という主張に折れてやった。
（あ、あれは偶々なんだからな！）
まさか倒れるとは思っていなかったから、あれには焦った。
後日フリッツ親父が見えたとまで言われたら、安易に手料理を出すわけにはいかないだろう。
折角一緒に食卓を囲める人物がいるのだから、せめてスコーンは真っ黒で無い時ではないといけない。それくらいの分別はイギリスでも持っている。
プロイセンが会議の間に作ってくれていたスープを温めなおす為に火にかけた所で「さすが俺様！」という声がリビングから聞こえた。
妖精さんが見えているワケでもないのに不憫な奴だな、と思う。もしかしたら頭の上の小鳥さんと喋っているのかもしれないが。
あの小鳥さんは可愛くて、イギリスも気に入っている。キッチンからひょいと様子を覗くと小鳥さんはプロイセンの頭の上に駐在していた。
（あいつ頭禿げんじゃねーのかな）
と失礼な事を思いながら「何してんだ？」と問うと「俺様ブログの更新してんだよ」との返答にイギリスは首を傾げる。
今のは果たして「俺様、ブログの更新してんだよ」なのだろうか。それとも『”俺様ブログ”の更新をしてんだよ」なのだろうか。突っ込むと可哀想な事になりそうであえてスルーする。ともかくプロイセンはブログを更新しているらしい。
「最近カウンター回るの早いんだぜ！」
ふーんと呟きながらプロイセンの背後に回ってみる。
イギリスはインドア派だが、直接手仕事をする方が趣味なので、ＰＣは仕事で使うくらいだ。

続く≫

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